全銀協会長、米銀破綻は「個社固有の問題」 市場動向を注視

2023.03.16 20:19
全銀協
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記者の質問に答える半沢会長(3月16日、銀行会館)

全国銀行協会の半沢淳一会長(三菱UFJ銀行頭取)は3月16日の定例会見で、経営破綻した米国のシリコンバレーバンク(SVB)やシグネチャーバンクは「調達基盤が特定業種や分野に集中していた」と話し、個社固有の問題があったとの見解を示した。欧州銀行の信用不安も心配されるなか、「現時点でわが国の金融市場、金融システムに影響が生じる兆候は見られていない」と語った。


SVBの経営破綻の主因については、「同社の預金は粘着性が低いITベンチャー企業からのものが中心であったなか、長期の債券投資を中心に運用していたことで評価損・売却損の拡大と預金引き出しの同時発生に耐えきれなくなった」と説明。また、シルバーゲートバンクとシグネチャーバンクについては「暗号資産関連企業との取引を主体としており、足元の暗号資産業界を取り巻く混乱の影響があった」ことを背景にあげた。


そのうえで、「いずれの銀行も調達基盤が特定業界や分野に集中していたことが共通しており、本件は金利上昇による保有債券の含み損拡大に加え、個社固有の問題が伴って生じた事案」との認識を述べた。


邦銀への影響も懸念されるなか、外債保有リスクに関しては「大手行を中心にヘッジ等により一定程度コントロールができている」と分析。地域銀行についても「相応の外債売却が進んでおり、昨年12月のイールド・カーブ・コントロール(YCC)変更後の日本国債の価格下落を踏まえても、総じて資本ポジションを健全な水準に維持している」とした。


スイス金融大手のクレディ・スイスに関する信用不安も高まっているが、日本の金融市場、金融システムに影響が生じる兆候がないことを強調した。一方で、金融市場を取り巻く環境変化を踏まえ、「世界の経済情勢や市場動向など、日本を取り巻くさまざまな環境を引き続き注視していくことが必要」と話した。

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