マネーフォワード、顧客の「金融体験」向上 アプリとBIツール連動
2023.02.28 09:56
マネーフォワードは、個人顧客の「金融体験」向上で存在感を高めている。顧客接点を担う新たなモバイルアプリの提供に加え、バックオフィス業務の効率化を通じた事務処理の迅速化を支援。2月28日には、5月から稼働する栃木銀行に加え、高知銀行、横浜信用金庫、京都信用金庫で採用されることを明らかにした。
コロナ禍を契機に地域金融機関でもデジタル取引が加速する一方、ミドルやバックオフィスの処理を紙ベースで行うケースが未だ散見される。そのため処理に時間がかかり「良い体験ができるはずなのに提供できていない」(マネーフォワードエックスカンパニーの吉本昌樹CAO)。そこで、プロダクトと各行の勘定系システムと接続し、銀行アプリやバックオフィスの処理スピードを高める。
銀行アプリ「BANK APP」は、顧客とインターネットバンキング契約をせずに、口座残高や投資信託の運用状況を管理。口座開設、住所変更といった諸手続きを提供する。金融機関へのオプションとして、顧客データ分析基盤「X―Insight Marketing(XIM)」を適用。金融機関は潜在的なニーズを掘り起こし、アプリ上で最適な金融商品を提案できる。
バックオフィスのデジタル化は「BANK 顧客サポート」で対応する。本人確認など目視が必要な場合を除き、約8割の業務量を自動化。残り2割は管理画面上で処理を実行できる。また、「BANK APP」の利用状況を支店別に表示するほか、キャンペーン案内のメール配信といったBI(ビジネスインテリジェンス)ツールとしての側面も持つ。
金融界ではアプリの機能拡充のほか、事務処理のデジタル化を通じた業務効率化に関心が高まっている。吉本CAOは「デジタル上でアプローチし対面でコンサルティングをするという、地域金融機関ならではの戦い方や価値提供の仕方を模索したい」と今後の方針を語った。