大手証券5社と日証協、金融教育で「一致団結」 副教材や出張授業
2023.02.23 04:52
大手証券5社と日本証券業協会は2月22日、共同で金融経済教育に関する取り組みを紹介した。政府が掲げる資産所得倍増プランで金融経済教育に注目が集まるなか、日証協の金融・証券教育支援本部の金子敏之普及推進部長は「証券業界が一致団結して金融経済教育に取り組んでいく」と述べた。
大手証券や日証協による金融経済教育に関する取り組みは、副教材の作成、出張授業など多岐にわたる。対象も小学生や中学生、高校生など学校向けから社会人向けまで幅広い。SMBC日興証券では、20~29年度までに金融経済教育を延べ150万人に提供することを目標に掲げている。
高校家庭科での金融教育の必修化を受け、野村ホールディングス(HD)では出張授業の依頼が急増。コロナ禍前の18年度に比べ、22年度の実施件数約1.8倍の284件、受講者数は約2.9倍の2万8100人(実施予定分も含む)に上る。
みずほ証券の浜崎祐一郎投資教育推進室長は、金融経済教育は「資産形成だけではない」と話し、「消費者教育」「キャリア教育」などと結びつけることが重要とみる。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券では、22年度から社員の人材育成研修に、小学校などで実施される出張授業を取り入れた。プレゼンテーションや金融経済教育に関する研修を受けた社員を講師として派遣することで、社内外の関係者とのコミュニケーション能力の養成につなげる。
また大手証券では金融教育の推進体制を強化。野村HDは22年4月にファイナンシャル・ウェルビーイング室を発足させ、13人体制で運営している。大和証券グループでは22年12月に金融経済教育担当役員を新たに配置したほか、23年1月には大和総研の金融調査部内に金融経済教育推進室を新設した。