【推薦図書】『解像度を上げる』(馬田隆明著)
2023.02.17 04:45
【推薦者】東京短資社長・後 昌司氏
起業の成否を分けるのは何か
起業に漕ぎつけてもそこからが大変、というのはいつの時代も変わりません。本書の著者は、長年スタートアップ支援に従事してきましたが、その経験から、「解像度」の高さこそが、起業の成否を左右するとしています。
自らが取り組もうとしている事業や領域について、明確かつ簡潔に可視化、言語化できているというのが、本書でいうところの解像度の高い状態です。
アイディアや技術がどんなに優れていても、ビジネスとして軌道に乗らないのは、思考の曖昧さや、問いかけに対しての「ふわっ」とした受け答えなど、解像度が粗いままで起業化に走るケースが大半であるとしています。
では不確実性が伴うビジネスの世界で、どうやって解像度を高めていくのか、を本書では説いています。理解度を高めるための「課題の解像度」と、表現方法を精緻化する「解決策の解像度」の2点に焦点を当て、丁寧かつ具体的に説明しています。
「分かった積り」で、「それっぽい」説明をしてきた評者からすれば、これまでの至らなさを痛感することしきりですが、それとともに、起業の世界のみならず、日常の仕事の進め方でも多くの示唆を与えてくれる良書です。
(英治出版、税込み2420円)