三井住友FG、「オリーブ」始動 スーパーアプリで決済と銀証保一体化
2023.02.03 19:41三井住友フィナンシャルグループ(FG)は2月3日、モバイルを軸に多様な金融・非金融サービスをシームレスに完結する個人向け総合金融サービス「Olive(オリーブ)」を発表した。
VisaやSBI証券など外部企業との連携により、3月から一つのIDで金融と決済、証券、保険の4役を担う「スーパーアプリ」を開始し、5年間でアカウント開設数1200万件を目指す。同時に、一つのカードでクレジットカードやデビットカードを切り替えるフレキシブルペイを世界で初めて導入する。
「オリーブ」はモバイル取引を前提とする社会に向けた三井住友FGのリテール戦略の要とし、すべての金融取引のプラットフォームとなる。太田純社長は同日開催の会見で「一つのサービスではなく、金融のニュースタンダードを提案するもの」と語った。
アプリで利用できるサービスは、各分野のリーディングカンパニーとの外部連携で〝オールスター〟をそろえた。「オリーブ」ID発行時にSBI証券の総合口座を開設し、アプリで残高確認や投資信託の取引サイトへ移行する。
保険は2022年11月に開設した保険ポータルサイトを活用し、ライフネット生命保険や三井住友海上火災保険など提携する複数社のサービスから選択する。一つの総合アカウントが全てのサービスにひも付いており、住所変更などの手続きは一度の登録で全サービスへ反映できる。
これらの総合サービスは、グループのポイントサービス「Vポイント」が結び付ける。全国のVisa加盟店の決済に利用できるポイントを、投信や保険商品を含む決済を通じて付与することで、オリーブのサービス内で「ためる」と「使う」を循環させるオープンな経済圏を形成する考え。
決済を担う三井住友カードは、Visaと共同で世界初のフレキシブルペイ対応カードを開発した。アプリ内の簡単な操作で、リアル・デジタル含め一つのカードで瞬時にキャッシュカード、クレジットカード、デビットカード、ポイント払い(プリペイド)の4種類のモードを切り替え、顧客利便性を高めてキャッシュレス決済を促進する。
リテール分野のあらゆる取引がアプリで完結できるようになるため、SMFGの店舗戦略も変化する。SMBC日興証券を含めた高度な資産運用コンサルティングなど、より特別なニーズへの対応に特化する方針。相談向けの店舗は駅前から住宅街に、よろず相談は商業施設内にテナントで入るなど、目的に合わせた配置や規模を想定する。
今後は総合金融サービスに加え、非金融分野にも乗り出す。具体的なサービスは決まっていないものの、グループで展開する定額制高齢者向けサービス「SMBCエルダープログラム」や、ファミリー層向けコミュニケーションアプリ「ファミリーネットワークサービス」、外部企業が提供する生活に沿った商品提案や広告事業など、顧客のライフプランに沿ったサービスの展開を視野に入れる。
3月のサービス開始に合わせて、クレジットカードの初年度年会費無料やポイントの抽選キャンペーンを追い風に、三井住友銀は年間の新規口座開設数で邦銀1位を、三井住友カードは新規入会数を現在の約300万件から500万件を目標に掲げる。銀行や決済の既存アプリは自動的に新サービスに移行する。23年度中に法人カードや提携カードにも対象を広げる計画だ。
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