アフターコロナへの展望④~資金収入を増やすには

2023.02.12 04:56
アフターコロナへの展望
メール 印刷 Facebook X LINE はてなブックマーク
新田信行氏・アフターコロナへの展望

1月10日、いよいよコロナ融資の借り換え保証制度が開始しました。保証限度額1億円。保証期間10年以内。経営行動計画書の作成と金融機関による継続的な伴走支援を求める内容となっていますが、実務の現場はいかがでしょうか?各金融機関の存在価値を大いに発揮していただきたいと思います。


さて今回は、資金収入の増加について、お話ししましょう。


資金収入を増やすためにまず思いつくのは、売上数量を増やすことです。実際高度経済成長時代の日本は、そうして経済を拡大してきました。当時日本は人口が増加し、物が足りなかったため、新たな良い物を作ればどんどん売上数量が増えたわけです。


それでは、今の成熟時代の日本はどうでしょうか? 人、金、物といった経営資源は全て、高度経済成長時代とは逆になってしまいました。日本の人口は減少し、物はあふれています。そのため、売上数量を増やすためには日本国内だけでは限界があり、人口の増加している海外に販売展開を考えることが必要となります。また、海外まで販路開拓が難しい地方の中小企業の場合は、せめて首都圏などの大都市圏での販売を検討する必要があるでしょう。人口が減少し高齢化が進む地方では、地産地消だけでは収入の増加に限界があります。自らの力だけでは地域の壁を越えることが難しい場合は、金融機関や地域商社のサポートなども求められているのです。


売上数量の増加以上に今取り組まなければならないのは、むしろ売上単価の引き上げです。これまで1000円のものを10個売っていた場合、それを20個売れば売上高は倍になります。一方で、これを2000円にして10個売っても売上高は倍になるのです。そして単価を上げたほうが利益率も大きく上がります。


私が日本各地を回って感じるのは、地方のものの値段が安すぎるということです。こうお話しすると、地元の皆さんからは「でも高くすると売れなくなります」と言われます。本当でしょうか?私にはむしろ安っぽくて買う気がしない場合も少なくありません。地元ではありふれたものでも、他の地域では珍しいものも少なくありません。これを誰に売ろうとしているのかも、重要なポイントです。買う側の他地域の人の側に立って、どうしたら喜んでもらえるか、どうしたら高い値段を払っても満足していただけるかを考えてみる必要があるでしょう。


他地域にはない、その地域だけの魅力に焦点を当てていただきたいのです。日本の地方にはどこにも、そこにしかない自然や歴史、文化、食があります。でも地元の方にお話しを伺っても、自分たちの歴史や文化について、あまりご存じない場合が少なくありません。外を見て他のマネをすることより、自分たち自身を見つめ直すことが地方創生のスタートになります。新しい未来への第一歩は、まず自分自身との対話「自覚」から始まるのは、個人、地域、国、どのステージにおいても共通です。そして、それをさらに深めていくためには。よそ者を排除するのではなく、よそ者との対話が不可欠です。視野を広げ、外からの視点を取り入れることで様々な気付きが得られることと思います。


次回(3月12公開予定)は更に、価格を上げるためのブランディングと共通価値の創造についてお話しをすすめてまいります。


1回目から3回目はこちらから

すべての記事は有料会員で!
無料会員に登録いただけますと1ヵ⽉間無料で有料会員向け記事がご覧いただけます。

有料会員の申し込み 無料会員でのご登録
メール 印刷 Facebook X LINE はてなブックマーク

関連キーワード

アフターコロナへの展望

おすすめ

アクセスランキング(過去1週間)