全銀協・半沢会長、金融政策「予見性高め市場と対話を」
2023.01.19 19:08
全国銀行協会の半沢淳一会長(三菱UFJ銀行頭取)は1月19日の定例会見で、日本銀行が18日に物価見通しを上方修正したことについて「先々の物価に対する見方が大きく変わったものではない」との認識を示した。金融政策の先行きは、「2%の物価安定目標に向けて賃金上昇を伴う持続的・安定的な物価上昇があれば、日銀はいずれかの段階で出口戦略を進めることになる」との見通しを語った。
日銀が2022年12月に金融政策を修正したことに対しては「名目金利が上昇したが、現時点で実体経済への影響は大きくない」と指摘。金融機関収益への影響については「国内金利が上昇した場合、金利リスク量が大きい金融機関では債券の評価損益が悪化する。他方、景気回復を受けた金利上昇であれば、中長期的には貸出の増加やポートフォリオの入れ替えなどによる保有債券の利回りの上昇、金利収入の増加をもたらすためプラスの影響もある」と説明。「インフレ動向や各国の金融政策、グローバルな景気の減速、地政学リスクなどの動向や、そうしたなかでの市場金利などの動きを注視しつつ、預貸を含めたバランスシート全体の影響をしっかり見ていくことが適切」と述べた。
今後、仮にマイナス金利政策が解除された場合については「変動金利の上昇に伴い、住宅ローンや企業向け貸出しの適用金利の上昇につながる可能性がある」と話した。また、金融緩和政策の調整時に金融市場のボラティリティが高まることも想定されることから、「リスクを軽減させるためにも、政策の予見性を高めるフォワードガイダンスをはじめ、市場との十分な対話を行いながら引き続き金融市場が健全に機能するよう適切に決定、判断」するよう期待した。
19日の理事会でスタートアップ支援に関する申し合わせを行ったことも発表。「スタートアップエコシステムの活性化は社会全体として取り組むべき重要なテーマ」と話し、銀行界を挙げてスタートアップ支援に力を入れる考えを示した。
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