【推薦図書】『WHOLE BRAIN 心が軽くなる「脳」の動かし方』(ジル・ボルト・テイラー著)
2023.01.20 04:45
【推薦者】野村証券専務・鳥海智絵氏
自分と他人に悩む皆さんに贈る書
本書は、脳出血で左脳の機能を失い右脳だけの世界を経験したハーバード大学の神経解剖学者が、8年かけて身体・感情・思考などの脳機能を回復させたプロセスから、「右脳(感情)/左脳(思考)」といった二者択一的な常識に囚われず、脳全体(Whole Brain)を活かすことでよりよい人生が送れる、と説くものである。
脳は4つのパーツで成り立っていて、左右それぞれに「考える」「感じる」キャラがある。左脳の大脳皮質(考える左脳)は「言語で順序だてて考える」。左脳の辺縁系(感じる左脳)は「ネガティブな感情で目先の決定を下しがち」。右脳の辺縁系(感じる右脳)は「今」の喜びに浸る。右脳の大脳皮質(考える右脳)は「合理的で大局的な視点」で物を考える。
日頃の自分を振り返ると、キャラ(脳のパーツ)の勝手な動きが一貫性のない行動や人との軋轢(あつれき)を生んだりしているようだ。著者は「脳の作戦会議」をすることで、一瞬ごとに自分でどのキャラになりたいか選ぶことができると言う。
いわゆる「スピリチュアル本」ではなく、脳科学的な根拠と実体験に基づいた話は説得力がある。「作戦会議」はすぐにできなくとも、人は「考える生き物」且つ「感じる生き物」であると改めて認識し、脳の機能を意識することで、もっと楽な日々を送れるのではないかと感じた次第。
(NHK出版、税込み2200円)
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