円急伸で一時1ドル129円台に、短観の「企業想定」超す円高へ
2023.01.03 14:51
1月3日の外国為替市場でドル円相場は円が買われ、2022年5月以来、7カ月ぶりに一時1ドル=129円台を付けた。22年12月の金融政策決定会合で長期金利の許容変動幅を拡大した日本銀行が次会合以降、さらなる政策修正を迫られ、日米金利差が縮小するとの見方が広がったことなどが要因とみられる。急速な円安が進んで1ドル=150円を超えた10月下旬から一転、1カ月余りで20円を上回る円高進行となった。
ドル円相場は、米長期金利上昇のピークアウト感が強まった22年11月中旬以降、円高ドル安基調となり、日銀の政策修正が明らかとなった同年12月20日には1ドル=130円に迫る場面も。その後、年末にかけて1ドル=130円台前半での一進一退が続いていた。市場参加者が少なく取引の薄い年始相場のもと、日銀の追加的な政策修正をにらんだ一部の市場関係者の観測や思惑が相場に色濃く反映され、節目の〝130円割れ〟につながったとみられる。
短期間での円高方向への巻き戻しは、多くの企業が決算期末を控える国内経済に打撃を与えかねない。直近(22年12月)の日銀短観によると、事業計画の前提となっている「想定為替レート」は22年度通期で130円台、同年度下期では132円台を見込む。足元の為替相場は、企業想定を上回る円高水準となり、この相場環境が継続した場合、グローバル企業や輸出関連企業を中心に為替要因による業績の下振れが予想される。
第一生命経済研究所の熊野英生氏は「サプライズ的に公表された日銀の政策修正の余波が年始の為替動向に影響を与えた可能性が高い。イールドカーブ(利回り曲線)の歪みは解消されておらず、次にどういった措置を講ずるのかわからないといった日銀に対する疑心暗鬼を生じつつ、緩和姿勢の一段の後退を市場が織り込んで円高予想につながっている」と分析する。
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