新業務を切り拓く信金の新設子会社 培った信頼を非金融に生かす(下)
2022.12.31 04:50
◆JSパートナーズ 城北信金のコンサル子会社 課題解決のディレクター担う
城北信金のコンサルティング子会社「JSパートナーズ」は、22年4月から事業を開始した。相続関連サービスや取引先事業者のオンラインサロンを展開。同社社長を兼務する大前孝太郎・城北信金理事長(58)に現状の取り組みと今後の展望を聞いた。
――設立の狙いは。
「金庫本体では対応しきれないお客さまの各種課題解決の管理機能を高めるため、子会社を設立した。これまでの課題解決は、そのつど外部の専門家につなぐことが多かった。(コンサル子会社では)ただの紹介ではなく、お客さまの利害、予算的な制約を理解して、課題に優先順位をつけて提案する、いわば”ディレクター”としての管理を担う。この能力を高めて、対価としてフィーをいただく」
――強みは。
「お客さまがよく知らない外部の専門家に任せてしまうより、顔なじみの職員が旅行の添乗員のようにお世話をする。こうした業務は、お客さまをよく知り、懇意な関係を築いている信金だからこそできること」
――活動状況や成果は。
「本部や営業店から意識の高い職員が出向しており、社員は30人強。個人向けの『第一事業部』、法人向けの『第二事業部』、『新規事業開発部』の3部がある。第一事業部で扱う相続関連サービスは、8カ月で約300件を契約した。これは子会社設立前と比べ1・5倍のペース。営業店の窓口係の意識も高まり、子会社への案件相談が増えている」
――「第二事業部」については。
「取引先同士の情報交換の場であるオンラインサロン『COSA ON ONLINE』を運営する。約1200会員が利用しており、テーマは商品開発やマッチングなどさまざま。海外展開を学ぶ有料コンテンツもある。今後、ミニ勉強会を企画したり、新規事業開発部で開発した新商品を案内する場にもしたい」
――今後の展開は。
「対法人サービスが少ないので、インボイスなど電子商取引系のメニュー開発を考えている。保険や不動産分野も研究したい」