白川儀一・日本損害保険協会会長 「安心・安全な社会の実現に貢献」
2023.01.01 04:55
変異を繰り返しながら世界で猛威を振るい続けてきた新型コロナウイルスは、私たちの生活や働き方を大きく変化させてきた。足もとでは、より効果的な感染防止策等を講じることで、平時の社会経済活動を取り戻すべく「ウィズコロナ」への移行が進みつつある。
また、ロシアによるウクライナ侵攻、北朝鮮による相次ぐミサイル発射といった顕在化している地政学リスクに加え、台湾における安全保障上の懸念も高まっており、世界経済の先行きへの不透明感は一層強まっている。
このように、不確実な環境においても、様々な課題に対応し社会のレジリエンスを高めることが、損害保険業界の社会インフラとして求められる役割だ。当協会は、「安心かつ安全で持続可能な社会の実現」、そして「経済および国民生活の安定と向上」の実現に向け、引き続き真摯(しんし)に取り組んでいく。
当協会は、2021年から「持続可能なビジネス環境の整備」、「災害に強い社会の実現」、「損害保険リテラシーの向上」を重点課題と定めた第9次中期基本計画を推進している。当中期基本計画を踏まえ、今年も「気候変動・自然災害」、「デジタル・トランスフォーメンション(DX)」を柱として、各取り組みを進める。
気候変動により自然災害が激甚化・頻発化するなか、防災・減災に向け、国や自治体と連携し、ハザードマップの活用など地域特性に沿った防災施策や災害への備えの啓発活動に取り組む。
お客さまをトラブルから守るため、災害に便乗する悪質な業者への対策として、注意喚起チラシの展開、自治体・警察と連携した関連情報の発信、AI検知ツールの浸透に向けた取り組みなど、引き続き様々な施策を講じていく。
内閣府等主催の総合防災イベント「ぼうさいこくたい(防災推進国民大会)」について、本年は、関東大震災から100年の節目を迎えることを受け、震源地(相模湾)も考慮し、神奈川県での開催を予定している。引き続き、「地震保険」の重要性、防災における十分な地域連携の重要性を発信していく。
損害保険業界共通で必要な手続きや事務処理について標準化・共通化を加速させ、お客さまや代理店の利便性向上に寄与するべく、取り組む。保険料控除手続きのペーパーレス化の浸透につながる「保険料控除証明書発行サービス」についても、システムの安定運営ならびに利便性向上を図る。
サイバー攻撃などの中小企業におけるリスクの認識状況の調査によると、リスク対策として損害保険に加入している企業は約5割にとどまる。デジタル社会のもたらす負の課題に対する社会全体の対応力向上のため、関係団体と連携し、様々なコンテンツを活用し啓発活動を強化していく。
その他にも、若年層の損害リテラシーの向上、保険事業の環境整備、募集品質向上に関する取り組みなど、損害保険業界の継続的な取り組みについても着実に進めていく。
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