厚労省、M&A助言を裁量労働に 長時間労働防止策カギ

2022.12.27 18:15
働き方改革
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労政審では約半年間かけて労働時間法制のあり方を議論してきた(12月13日、東京都内)

厚生労働省は、銀行・証券が企業にM&A(合併・買収)や事業承継を助言する業務を裁量労働制に適用拡大することを決めた。12月27日に開催した労働政策審議会の分科会で報告を取りまとめた。金融機関の裁量労働制は、本部の企画部門を中心に導入している先も多いが、コロナ禍でテレワークなど働き方も多様化するなか、長時間労働防止策の実効性が課題となる。


裁量労働制は、事業運営で重要な企画・立案を担う「企画業務型」と、弁護士や証券アナリストなど19業種に適用する「専門業務型」の2種類ある。企画型は法改正が必要でハードルが高いが、専門型は省令改正で変更できる。専門型の追加は2003年以来19年ぶりとなる。分科会では、経団連側から「M&A業務は専門性が高く、裁量労働が適当」との要望があったが、日本労働組合総連合会の代表者らは「労働時間の管理が難しく長時間労働を懸念」など意見が対立していた。企画型で必須だった本人の同意を専門型も義務化する。


実際に金融機関では本部の企画部門で導入が進むが、「実態は上司が仕事の内容・量を決めていて、本人に裁量がない」(銀行の従業員組合幹部)との指摘もある。そのため、ある大手行では従業員組合が年2回、①総労働時間➁11時間のインターバル確保などを点検し、裁量労働制でない行員と比較している。また、裁量労働の適用者への独自アンケートでは、「自立性」「主体性」「創造性」について5段階で評価してもらっている。その結果、「裁量労働制行員の労働時間は年々減ってきている」(組合幹部)と手応えをつかむ。みずほフィナンシャルグループは10月、企画型の裁量労働制を停止。「全ての社員が時間管理に対する意識を一層高め、過重労働を排除し健康で活き活きと働き、総労働時間の短縮を着実に進めていく」としている。

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