黒本淳之介・ 第二地方銀行協会会長 「新たなチャレンジを後押し」

2023.01.01 04:55
第二地銀協
メール 印刷 Facebook X LINE はてなブックマーク
年頭所感(栃木銀黒本頭取)

昨年(2022年)6月以降、第二地方銀行協会では「地域社会の未来を共に創る」を活動テーマに取り組んできた。新年を迎えても、このテーマに基づき、以下の点を念頭に置きながら、取り組みを一段と加速させる。


1点目は「顧客起点のビジネスモデルの構築」。会員行には、事業再生・事業転換支援等において「親しみやすさ」「相談しやすさ」といった第二地銀ならではの強みを生かして、業況や経営者の悩みを積極的に把握し、真のニーズに沿ったコンサルティングの提供が求められている。特に本年には、コロナ関連融資の返済開始が本格化することから、より一層の本業支援が重要となる。もっとも、政府による中小企業活性化パッケージなどの政策支援は、地域経済の回復の足掛かりとなる大変重要な支援ツールとなる。このようなツールも活用し、顧客にとって効果的なコンサルティングの実現に向け、実務支援や人材育成の側面から会員行の取り組みを支援していく。


2点目は「デジタルによる生産性向上」。限られた経営資源を生かし収益力を高めることは、地域の中小・小規模事業者も地域金融機関自身も避けては通れない課題となっている。多くの会員行はデジタル化を進めるにあたり、専門人材が充分に確保できていない現状にある。各会員行とも専門人材の育成に努めているが、即戦力が求められるなか、効果を出すにはある程度の時間が必要となる。こうした課題に対応するため、第二地銀協では昨年、DXに関する高度な知見や実勢のある人材をプールし、会員行と専門人材をつなぐ実証実験を開始した。このような仕組みなどを活用し、地域の中小・小規模事業者や会員行自身の生産性向上を支援していく。


3点目は、「地域課題解決ビジネスの創出」。持続可能な地域社会を実現していく上では、地域課題解決の糸口となる具体的なビジネスの創出が鍵を握る。第二地銀協では、地域課題解決に取り組んでいるスタートアップ企業等と会員行との情報共有や対話の場を提供し、そこで得た知見を活用した会員行の「新たなチャレンジ」を支援していく。失敗を恐れずに小さなチャレンジを積み重ねることが必要であり、たとえ、そのチャレンジが失敗に終わったとしても、次につながる経験や知見といった成果が得られるものと考える。


社会的・経済的課題が多様化・複雑化するなかで、地域銀行がその課題解決に重要な役割を果たせるよう、様々な課題に関する情報共有や関係当局との協議・要望を通じて、会員各行の取組みを積極的に支援していく。

すべての記事は有料会員で!
無料会員に登録いただけますと1ヵ⽉間無料で有料会員向け記事がご覧いただけます。

有料会員の申し込み 無料会員でのご登録
メール 印刷 Facebook X LINE はてなブックマーク

関連キーワード

第二地銀協

おすすめ

アクセスランキング(過去1週間)