ECB、政策金利を50bp引き上げ QTは23年3月開始

2022.12.16 10:12
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欧州中央銀行(ECB)は12月15日の金融政策理事会で、高止まりするインフレ対応のため、三つの主要政策金利を50ベーシスポイント(bp)引き上げることを決めた。利上げは3回連続。前回までは2回連続で75bpずつ引き上げていた。2023年3月から、量的引き締め(QT)として毎月150億ユーロずつ資産を圧縮することも決めた。


利上げ後の三つの主要政策金利は、①預金ファシリティ金利(金融機関が手元資金をオーバーナイトでECBに預け入れる際の中銀預金金利)が2%②限界貸出ファシリティ金利(金融機関が急な資金需要が生じた場合、オーバーナイト資金をECBから借り入れる際の金利)が2.75%③主要リファイナンスオペ金利(ECBおよびユーロ圏内の中央銀行が行う公開市場操作において金融機関が入札可能な下限金利)が2.50%――となった。


10月の欧州のインフレ(HICP)年間上昇率は、10.6%だったのに対し11月は10%と若干低下。エネルギー価格が若干安くなったためで、「来年の1、2月はエネルギー価格は上昇するだろう」(クリスティーヌ・ラガルド総裁)との見方が強い。食品価格も値上がりすると予想されており、ECBは声明で「今後も大幅な利上げをしっかりしたペースで行う」とのフォワードガイダンスを示した。


QTは、23年3月から資産購入プログラム(APP)で保有されている資産を減らしていく。償還される元本の再投資を止め、23年6月末までは月間150億ユーロずつ資産を圧縮していく。7月以降の方針は未定。


今回、ECBはリセッション(景気後退)について言及し、市場関係者の注目を集めた。声明で「22年の第4四半期と23年の第1四半期は経済が縮小してリセッションに入るが、短期で浅いものとなるだろう」との見解を示した。


米国が前日12月14日に50bpの利上げを行ったが、ラガルド総裁は「我々は(米国よりも)もっと広い範囲をカバーしなければならず、引き締めの期間ももっと長くなるだろう」と述べた。

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