三井住友銀、次期頭取に福留専務が昇格 旧三井銀出身で初
2022.12.15 19:45
三井住友銀行は12月15日に臨時取締役会を開催し、2023年4月1日付で福留朗裕専務執行役員(59)が頭取に昇格する人事を決めた。6年ぶりのトップ交代で、高島誠頭取(64)は会長に退く。高島氏に続く海外畑のトップ就任で、旧三井銀行出身の頭取就任は初めて。国部毅会長は三井住友フィナンシャルグループ(FG)の取締役会長に専任する。
指名委員会で次期頭取について1年以上にわたって議論するなか、太田純・三井住友FG社長と高島頭取が福留氏を推挙した。高島頭取は、明るい人柄に加え、通算16年間の海外勤務やトヨタグループでの経験を評価。「海外にソリューション提供するなか、現地の担当者の能力も向上している。統括すべきトップは海外経験が重要」と話す。
福留氏は入行当初の約6年間の支店勤務後、市場営業部門で19年間にわたりトレジャリー業務に従事。ロンドン、香港、上海、ニューヨークの各拠点で勤務した。2010年から2年間のカナダ三井住友銀行社長と合わせると、海外勤務経験は約16年間に及ぶ。福留氏は「香港でアジア通貨危機を経験したのが生かされ、ニューヨークでリーマン・ショックに立ち会った際はかなり冷静に対処できた」と振り返る。
グローバル業務の強化をさらに推し進める次期中期経営計画が始まる23年4月のタイミングでのトップ就任。福留氏は「SMBCのカルチャーをグローバルベースで広めていきたい」と語る。特にアジアのマルチフランチャイズや、肥沃なマーケットであるアメリカを中心に強化していく方針だ。
18〜21年には銀行を離れ、トヨタ自動車の販売金融事業本部長兼トヨタファイナンシャルサービス社長を務めたという銀行トップとしては異色の経験もある。トヨタグループとの取引関係強化だけでなく、連携による海外業務強化の可能性もありうる。
座右の銘は「現地現物」「百折不撓」。「体を使って愚直に経験することでビジネスのアイデアが浮かぶ」と話す。
▽福留 朗裕氏(ふくとめ・あきひろ) 岐阜県出身、59歳。85年一橋大卒、三井銀(現三井住友銀)入行、14年4月執行役員、15年4月常務執行役員、18年1月トヨタ自動車常務役員、トヨタファイナンシャルサービス代表取締役社長、21年4月三井住友FG執行役専務、三井住友銀専務執行役員。家族は妻と娘2人。