NISA生涯枠1800万円 つみたては年120万円 政府・与党の税制改正
2022.12.13 11:44
政府・与党は12月13日、2023年度税制改正に向けた最終処理案を示し、NISAの一人あたり生涯投資枠を1800万円に設定する方針を打ち出した。年間投資上限額は、つみたてNISAを120万円、一般NISAを衣替えする「成長投資枠」は年間240万円に設定する。富裕層向け所得課税の見直しでは、年間所得が約30億円を超える場合に付加的に課税。資産課税の体系も見直し、教育・結婚・子育て資金の一括贈与に対する非課税措置は存続させる。
16日に「税制大綱」取りまとめへ
12月13日8時から自民党の税制調査会が幹部会を開き、大筋で合意した。12月16日までに公明党との調整を終え、与党税制改正大綱を取りまとめる予定。
NISAは制度を恒久化し、非課税期間も無期化。「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を設ける形に刷新し、合計の生涯投資枠を1800万円に設定。このうち、成長投資枠の上限額は1200万円にする。
富裕層向けの所得税見直しは、30億円超の高所得者を対象にする形で決着。土地の譲渡で瞬間的に年間所得が10億~20億円になる国民が一定程度いる実態に配慮した。合計所得額から特別控除として3億3000万円を差し引き、控除後の額の22.5%が所得税額を超える場合に差額分の申告納税を求める。
富裕層課税は「マーケットに配慮」
宮沢洋一・自民党税調会長は富裕層向けの付加課税について、「マーケットに対する配慮は必要」と話した。金融市場への影響を最小限に抑えつつ、負担増を敢行するために工夫を凝らした形跡が見える。起業家にも配慮を示し、保有する株式を売却してスタートアップ企業に再投資した場合は、再投資分は20億円まで譲渡益に課税しない措置を設ける。
資産課税については、暦年課税と相続時精算課税の選択制を維持しつつ、相続時精算課税で受けた贈与は暦年課税の基礎控除とは分けて毎年110万円まで非課税とする。暦年課税による相続前贈与の加算期間は現在の3年から7年に延長。延長した4年間に受けた贈与については、総額100万円まで相続財産に加算しない。
また、廃止が取りざたされた教育・結婚・子育て資金の一括贈与にかかる非課税措置は延長。教育資金向けは3年、結婚・子育て資金向けは2年延長する。ただ、次回の期限到来時には制度の在り方を改めて検討する方針を明記する。特に、結婚・子育て資金向けは引き続き廃止を視野に入れる。
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