資金需要者、6割が「物価上昇で家計悪化」 貸金業協調べ
2022.12.01 04:50
日本貸金業協会は11月30日、資金需要者の借入意識や借入行動などに関する調査結果を公表した。個人・事業者の双方で、長期化するコロナ禍や物価上昇の影響が大きかった。また、4月に成年年齢が18歳に引き下げられたが、若年者への更なる金融経済教育の必要性が浮き彫りとなった。
同協会が例年実施しているもの。今回は8月に、5万2803人へのプレ調査と、個人2000人、事業者1000人、若年者(18〜22歳)1000人への本調査を実施。資金需要者を取り巻く環境の変化などの定点調査に加え、今回新たに①長期化するコロナ禍や物価上昇などによる資金需要者等への影響②若年者の金融知識や借入に対する意識・行動等ーーのテーマ調査も行った。
借入経験のある個人の家計収支の変化を見ると、前年比で悪化傾向が鈍化したものの、依然として悪化(27・3%)が改善(19・5%)を上回った。所得階層別では、所得が多いほど改善傾向が強まっており、今後の見込みについても同様の傾向だった。家計収支悪化に悪い影響を受けた要因としては「電気やガスなどのエネルギー価格高騰」(59・8%)、「小麦などの原材料高騰による物価上昇の影響」(54・1%)、「新型コロナウイルス感染症拡大の影響」(36・6%)が目立った。
新たな借入に対する意識については、借入経験のある個人では、年代・所得階層を問わず、「消極的になった」が「積極的になった」を上回った。
借入経験のある事業者でも、新たな資金調達に「消極的になった」(33・8%)が「積極的になった」(11・5%)を上回った。ただ、借入行動については、「オンラインで借入れできるところを探した」(13・6%)などの変化も出てきた。
若年者の金融知識に関しては、金融経済教育を「学校の授業で学習した」が48・2%に上り、借入経験のある個人より約40%高かった。同協会は「学校における金融経済教育の浸透が進んでいる」と説明する。一方、消費者トラブル経験は若年者が借入経験のある個人を上回る結果に。若年者におけるヤミ金融に関する質問では認知度が低く、同協会は「若年者におけるヤミ金融等の認知を深める余地がある」とした。
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