【人づくりのヒント】金融ビジネススクール設立
2022.12.02 04:45
東日本銀行・スキルレベル研修に力
“中小企業のトータルパートナー”を標榜する東日本銀行は、2022年8月に人財部内に「金融ビジネススクール」を設立し、人材育成の強化に本腰を入れている。スクールの校長に支店長、副校長には副支店長の経験者を抜擢。「営業がわかる人が人材育成に関わることで、より営業店が求めるレベルの研修ができる」(内田真紀執行役員人財部長)と判断したためだ。
従来は、「人財部や業務担当部の研修」「自己啓発」「現場のOJT」の3つの人材育成要素が切り離されていた。その結節点となるのが中村洋介校長と椎名恭介副校長の2人。現場との距離を縮めて研修後に受講生とメールでやりとりし、研修の効果をチェックするほか、研修の課題点などを確かめて修正・改善する。
スクールでは年齢や職位に関係なくスキルレベルに応じた研修に力を注ぐ。行員が支店長との協議のもとスキルレベルを設定し、「基礎」「初級」「中級」「上級」の4段階に区分。各レベルに応じた研修内容でソリューション営業力や与信判断力の向上を狙う。
ここでも校長と副校長が、現場でスキルレベルに応じた研修が機能しているかどうかを実査。行員の実力とスキルレベルの設定が一致しない場合は、行員の意見に耳を傾けて支店長や役席にフィードバックし、本支店で目線を合わせてスキルレベルをランクアップさせる仕組みを進化させていく。
また、同じコンコルディア・フィナンシャルグループの横浜銀行との合同研修や研修カリキュラムのノウハウ活用に取り組み、外部研修や外部セミナーへの参加機会も広げる。これにより行員一人あたりの研修時間を21年度の約10時間から、3年後の24年度には1.5倍以上の約16時間まで拡充する計画だ。
内田執行役員は「若手の育成やスキルレベルの向上は大きなミッション。一方で、現場で若手を指導するマネジメント層にも課題があり、今後対応が必要となる」と指摘する。