【PR】第1回 大森理事長インタビュー 地域密着型監査
2023.01.01 04:50
みのり監査法人は、全国JAの約500先から会計監査を引き受ける。同じく協同組合組織の地域金融機関の会計監査も請け負う。3回シリーズ『地域密着型監査のかたち ~地域金融のフィールドで存在感~』を掲載する。第1回は、大森一幸理事長(67歳)に地域密着型監査について聞いた。
Q.みのり監査法人はJAグループだけでなく、全国にある信用金庫・信用組合から監査人として選ばれていると伺っています。その背景として、『地域密着型監査』というキーワードをお聞きしました。まず、『地域密着型監査』とはどのようなものでしょうか。
当法人は、令和元年度より、全国各地の農業協同組合等を中心に会計監査を提供しています。大手監査法人は大都市圏の上場企業等を主な監査先としているのに対して、当法人の監査先は地域に根差した事業体・組織であることが特徴です。地域の監査を担うにあたり、地域のビジネス環境・文化・特性を理解することが非常に重要であると考えておりまして、より監査先に近い場所から現地のことを良く知るメンバーが監査を提供していく観点から、ほぼすべての都道府県に拠点を設けています。このような地域性・協同組合組織への理解、金融機関監査の経験、全国ネットワーク等が評価され、各地の信用金庫や信用組合からも多くのご照会を頂いており、本当にありがたいことだと思っております。
当法人は日本国内に特化している点において、グローバルネットワ-クファームを標ぼうする大手法人と人材や品質に対する戦略が異なります。現在、公認会計士の多くは大都市圏を拠点とする状況にありますが、当法人の目指す地域密着型監査では地域人材の活用を主軸に置いており、各地域で専門職員の採用を積極的に行っています。今後さらに、地域の専門家ネットワークの構築や監査法人・会計事務所等の連携を進めていく予定であり、将来的には国内中小監査法人の連携を可能とする協議会等の設置を目指しています。全国ネットワークを持ちながら地域を主軸にした監査法人は当法人のみであるように思います。
さらに、当法人のパートナー(社員)は、大手監査法人でマネージャーやパートナーといった重要な職責を担ってきた充分な経験のある人材を配置しており、地域密着型監査において監査品質では決して大手監査法人に負けないものと自負しております。
当法人は全国の農業協同組合等の監査に大きな実績があります。これは、信用金庫・信用組合の監査と大きな親和性があります。農業協同組合といいますと、一般には農業生産の効率性の向上への寄与、農畜産物の市場への供給、地域での生活店舗の運営などをイメージされることと思いますが、日本でも有数の金融機関の一翼としての信用事業に大きな特徴があります。この農業協同組合監査を通じて地域金融機関の監査に深く関わってきた実績を活かし、この分野でさらに貢献していく所存です。
Q.大手監査法人が地方事務所を縮小するなか、みのり監査法人は全国のJAを監査先とし、全国に拠点を有しておられます。その拠点での人材確保はどのように工夫されているのでしょうか。
当法人は全国各地に監査先があり、それに応じた拠点を全国に有しています。各地域において、パートナー(社員)は、東京、大阪、名古屋、福岡などの都市部に生活基盤を持ちながら県・地域を担当している場合が多いですが、出身地や出身高校などバックボーンのつながりを大切にし、地域に明るい人材はもちろん、東京出身者であっても地域志向の強い人材を取り揃えています。大手監査法人出身のUターン人材も多く、地域社会へ人材を還元する機能を持ち合わせている点に特徴があります。
当法人は全国を4つのブロックに分けて運営しており、地域に密着した運営を基本としながらも、ブロックを通じた人材活用、人材育成に力を入れて組織の活性化と業務の効率化を図っています。
Q.地域金融機関の監査は、地域特性に加え金融の専門的な知識が要求されると考えられますが、人事面でどのような対応がなされているのでしょうか。
監査には知識と経験の両方が必要ですが、大手監査法人で充分な監査経験を積んだ人材を配置しており、監査の現場での“即戦力”として監査を提供できる態勢を整えております。今後も引き続き、地域で活躍する専門家・専門職員の採用を進めておりまして、昨年も大手監査法人で金融機関の監査経験がある複数の専門家が当法人の理念に共感し、ご参画いただきました。大手法人でグローバル企業や大企業、メガバンクの監査経験を積んできた人材にとって、当法人は人生第二幕のキャリアチェンジにもなり、公認会計士としての新しい社会貢献の形として認知され始めています。このように、引き続き人材供給態勢を構築しており、地域でお声がけを頂いた際にすぐ対応できることが、当法人の強みとなっています。
また、このような環境下において、監査品質を均質に保つため、内部研修を充実させています。研修のラインナップとしては、会計・監査の他、協同組合の特性に関するもの、農業協同組合・金融機関等の業界情報に関するもの等を含めており、業界知識等の研鑽に努めています。さらに、各ブロックにおいては地域ビジネスや特性を題材とした研修を展開しています。
Q.大手監査法人が人材不足を理由に監査報酬の値上げに動いているなか、みのり監査法人では監査報酬の考え方について何か違いがあるのでしょうか。
大手監査法人はグローバル、上場会社を監査の中心としています。しかし、地域密着型の信用金庫や信用組合のような国内・地域特化型の企業はたくさんあります。そういった企業にとって、監査だけをグローバルで求められるスペックにする必要はないと考えています。監査の基準を遵守していくことはもちろんですが、国内の各地域に根差した金融機関に対しては、それにふさわしい監査があるべきと思っています。公認会計士法の使命、職責に『わが国の国民経済の発展に寄与する』とあるように公認会計士の品位を保ちながら地域の監査の一翼を担っていきたいと考えております。
Q.アフターコロナにおいて、新しい監査の在り方、監査先とのコミュニケーションが模索されていると聞いております。みのり監査法人におけるデジタル監査への取り組みはどのようなものとなっているのでしょうか。
アフターコロナあるいはウィズコロナの時代において、監査におけるコミュニケーションのあり方を追求していきたいと思います。コロナ禍では、リモートによる監査手続が促進されました。その一方で対面によるコミュニケーションの重要性が再認識されています。監査のコミュニケーションは実効性と効率性の双方を場面に応じて使い分けることが求められており、リモートと対面の両輪をバランス良く対応していくことが必要と考えています。例えば、重要な監査手続である経営者や監事へのインタビューは、感染症対策に充分配慮する観点からはリモートによる実施が有効になるかもしれません。しかしながら監査の基本は対話であり、日ごろから面談を重ねて信頼関係を築く努力は惜しみません。その意味でハイブリッドな監査を志向して参ります。
コンピューターを用いた監査技法の開発・運用にも力を注いでおります。デジタル技術を駆使した監査手続への移行により、監査の実行性と効率性を大幅に向上させる効果があると考えており、当法人においてもデジタル人材の育成を進めつつ、業務への適用への取り組みを強化しています。