NTTデータ加盟の地銀4陣営、基幹系をクラウド型で統合へ
2022.11.18 16:02
NTTデータのシステム4陣営に加盟する地域銀行が、勘定系システムをクラウドへ移行する検討に入った。非競争領域のハードやミドルウェアなど、各陣営で利用している部分を共用基盤に移して効率化を推進。第一弾は、京都銀行などが加盟する「地銀共同センター」で進める。業務アプリなど競争領域にリソースをシフトすることで、より高度なサービス展開が加速しそうだ。
同社の勘定系システム採用行は、①地銀共同センター(13行)②STELLA CUBE(ステラキューブ、11行)③BeSTAcloud(ベスタクラウド、10行)④MEJAR(メジャー、6行)――の4陣営ある。このうちMEJARは運営主体を参加行が担い、同社はアウトソーシングで受託している。各陣営とも「BeSTA」と呼ばれるソフトウェアを活用しているほか、MEJARは富士通、他3陣営では日立製作所のメインフレームを利用しているなど共通項が多い。
「統合バンキングクラウド」を打ち出し、各行で異なる共同化範囲を除いた共通項を各陣営で共用する構想だ。具体的には、データセンターとハードウェア、OS、ミドルウェアを各陣営で基盤を仮想的に分離。業務アプリなどは戦略領域として対象にしない。活用するクラウドを同社が自前で用意し、利用できる事業者を限定する「コミュニティークラウド」で可用性を99・999%に高める。
地銀共同センターが第一弾で、オープン化を経ずにクラウド移行を図る見込み。MEJAR加盟行では、24年度にハードやOSが特定のベンダーに依存しない「オープン化」を行い、30年度中のクラウド稼働を目指す。STELLA CUBEとBeSTAcloudなど、ほかの陣営は今後話を進める。
共用化の背景には、銀行を取り巻く収益環境の変化がある。各行はOHR(経費率)低減へコスト構造の見直しを活発化。一方で、メインフレームを製造するITベンダーの撤退が相次ぐなど業務の継続性にも不安視する向きが高まっている。クラウド技術を活用し、共同利用によるコスト最適化と永続的に業務を行える環境を整備する。
クラウド基盤を活用することで、従来のメインフレームでは難しかった外部との接続に幅を持たせられる。ネット経済とつながるオープンシステムを目指すことで、新たな顧客体験を創造するきっかけになると注目が集まる。
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