創業支援で飲食店が回復の兆し 日本公庫
2022.11.20 04:41
「アフターコロナへ活発化の可能性」
日本政策金融公庫による2022年度上期の創業融資実績(創業前と創業後1年以内)は、件数が前年同期比7.4%減の1万3121先、金額が同12.2%減の667億円だった。融資先数の内訳は、「創業前」が7970先で全体の6割を占めた。業種別でみると「飲食店、宿泊業」で回復の動きがみられた。「アフターコロナへ向けて、22年度下期は創業がより活発化していく可能性がある」(国民生活事業本部創業支援部)という。
22年度上期の「創業前」融資実績7970先の内訳をみると、上位から理美容業など「サービス業」が2350先(構成比29.5%)、「飲食店、宿泊業」が1669先(同20.9%)、「医療、福祉業」が1107先(同13.9%)と続く。「飲食店、宿泊業」のうち、民泊など宿泊業は28先だけで、飲食店向けの融資が大半を占めている。
「飲食店、宿泊業」に対する融資は、22年9月の単月だけで333先にのぼった。コロナ禍以前の19年9月実績との比較では、93.3%の水準まで戻ってきている。国民生活事業本部創業支援部は「コロナ禍の(感染拡大の)波が何度か繰り返されるなかで、飲食店を営業することへの抵抗感が薄れているのではないか」と分析。飲食店は従来、創業融資における主要業種だっただけに、足元の増加傾向が全体の底上げにもつながるとみている。
日本公庫では、創業に関心のある人を対象にしたイベントを今年11月から始めており、12月下旬まで各地で開く。また、専用ホームページのコンテンツを10月から拡充している。全国の創業事例を業種や地域、創業者の年齢などから検索できるのが特徴で、スマートフォンからの閲覧を意識したという。こうした情報発信を一段と強化し、創業する人を増やしていきたい考えだ。