四国地区地域銀の4~9月期決算 中間純利益4行増益、上方修正相次ぐ

2022.11.14 20:54
決算
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本業部分で確実に利益が出る体質になってきたとの見方を示した綾田頭取(11月14日、百十四銀本店)
本業部分で確実に利益が出る体質になってきたとの見方を示した綾田頭取(11月14日、百十四銀本店)

四国地区地域銀行8行の2022年4~9月期決算(単体)が11月14日に出そろった。資金利益や役務取引等利益が堅調に推移したほか、経費や与信関連費用が抑えられたことで、純利益は4行が増益。23年3月期通期の見通しを上方修正する銀行が相次いだ。



「企業支援に対するコンサルティング手数料が形になって表れてきた」と話す西川・愛媛銀頭取(11月10日、愛媛銀研修所)
「企業支援に対するコンサルティング手数料が形になって表れてきた」と話す西川・愛媛銀頭取(11月10日、愛媛銀研修所)

全8行の純利益は、合算で前年同期比10.4%増の438億8200万円となった。資金運用収益や外国債券の売却益などの増加で同37.0%増となった伊予銀行をはじめ、香川銀行、愛媛銀行が中間期として過去最高を記録。愛媛銀行の西川義教頭取は「コンサルティング手数料が増えたことが好材料」と話した。また、高知銀行の成瀬洋常務は「減益となったが経費の削減などに成果があった」とし、計画を上回る業績との見方を示した。



決算会見で質疑応答する成瀬洋・高知銀常務(11月9日、高知銀本店)
決算会見で質疑応答する成瀬洋・高知銀常務(11月9日、高知銀本店)

一方、有価証券の運用は海外金利の上昇に伴う影響がにじみ出る決算となった。各行の評価損益は22年3月末比で大きく悪化。外国債券を中心に売却損を計上する銀行が相次いだ。百十四銀行の綾田裕次郎頭取は「減益の主な要因は含み損の外債を処分したこと。本業部分は順調に推移している」と説明。各行は改善に向けてポートフォリオの再構築を図っている。



取引先企業を取り巻く環境について注視する必要性を口にした中村社長(11月11日、トモニHD本社)
取引先企業を取り巻く環境について注視する必要性を口にした中村社長(11月11日、トモニHD本社)

取引先企業の間では実質無利子・無担保(ゼロゼロ)融資の返済本格化に加え、足元の物価高騰や円安への懸念が増す。徳島大正銀行と香川銀行の持ち株会社トモニホールディングス(HD)の中村武社長は「取引先企業が直面するコスト上昇は続くのではないか。早い段階から取引先の実情を確認しながら経営のサポートに取り組んでいく」と述べた。



中間決算で会見に臨む三好賢治・いよぎんHD社長(11月11日、伊予銀本店)
中間決算で会見に臨む三好賢治・いよぎんHD社長(11月11日、伊予銀本店)

23年3月期通期の見通しについては、阿波銀行など5行がこれまでの純利益予想を上方修正(決算前の発表含む)。四国銀行は経常収益のみ上振れを見込む。10月に伊予銀行の持ち株会社として新設したいよぎんホールディングスは「信用コストの減少と、想定を超える円安進行に伴う債券売却益が上方修正の主要因になる」と説明した。

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