スイフト、新データフォーマット移行 23年3月に異例の延期
2022.11.12 04:50
Swift(国際銀行間通信協会=スイフト)は、外国送金の新データフォーマット「ISO20022」の移行開始時期を、11月から2023年3月に延期することを決めた。欧州の一部金融機関での対応の遅れが要因。現行のフォーマットは25年11月に廃止となるため、邦銀も対応を進めている。麗澤大学の中島真志教授は「これだけ世界的なプロジェクトが急に延期になるのは異例のこと」と話す。
欧州中央銀行(ECB)は10月20日、ISO20022に準拠した新たな即時グロス決済(RTGS)システムなどのテストが、一部利用者で完了していないと説明。ECBの決定を受けて、Swiftは10月27日付けの声明で、移行開始時期を23年3月20日に変更したと公表した。欧州の金融機関の移行状況について、中島氏は「IT技術者の取り合いになって、なかなか作業が進まないところがでてきた」と話し、中小の金融機関の対応が間に合わなかったとみる。
Swiftを通じた海外送金を行う金融機関は、ISO20022移行に向けたシステム対応などが求められる。現在、通信容量に制限のあった「MT」と呼ばれるフォーマットを利用。金融機関は新フォーマットを活用することで、より豊富な情報をシステム処理に適した形で送受信可能となる。アンチマネーロンダリングにおけるスクリーニングや入金消込業務の効率化など、データの利活用が期待されている。
新フォーマットへの移行計画を公表している3メガバンクでは、23年3月に、まずは欧州銀行など海外の金融機関からの送金の受け取りから対応予定。仕向送金については、三菱UFJ銀行は23年11月以降、利用サービスごとに順次受け付けを開始する。みずほ銀行と三井住友銀行は、開始時期については詳細が決まり次第、顧客に周知する予定だ。
関連キーワード
おすすめ
アクセスランキング(過去1週間)
- 北陸銀と北海道銀、営業支援システム導入 年18万時間の作業削減
- 金融界、「隠れリース」特定に本腰 27年の新基準適用迫り
- 群馬銀、ストラクチャードファイナンス3年5.7倍 RORA向上に寄与
- 金融庁、決算書入手方法を調査 地域金融の実態把握へ
- 広島銀、請求書業務のDX後押し 新システムで決済口座確保
- 京都中央信金、理事長に植村専務が昇格 白波瀬氏は代表権ある会長へ
- 固定型住宅ローン、金利〝決め方〟見直し機運 参照指標「再検討」も
- 地銀、外貨保険販売が36%減 24年度下期、10万件割れ
- 信金、店舗減少が小幅にとどまる 職員数推移との格差鮮明
- 地域銀・信金、NISA口座伸び悩む 3カ月の増加率1%