奈良クラブ、Jリーグ参入間近に 大和信金が集客・資金面を後押し

2022.11.05 04:43
スポーツ 社会・地域貢献
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第27節のクリアソン新宿戦は4-1で快勝。3点目を決めた浅川隼人選手(右から2人目)は、JFLの得点ランキングで首位を快走(10月29日、味の素フィールド西が丘)

アマチュアリーグの最高峰「JFL(日本フットボールリーグ)」で2位(第27節終了時点)と好調な「奈良クラブ」(奈良県)が話題を呼んでいる。11月5日、ホームで迎える「ヴィアティン三重」に勝利すれば、Jリーグ(J3リーグ)参入が事実上決まるからだ。大和信用金庫(奈良県)は、地域活性化への取り組みの一環として、同クラブを集客や資金供給面でサポート。奈良県初となるプロサッカークラブ誕生に向けて力強く後押ししている。


奈良市を中心に県全体をホームタウンとする奈良クラブは、1991年に旧・都南クラブとして創設。都道府県や地域リーグを経て15年にJFLへ昇格。Jリーグ昇格に向け、着々と歩みを進めてきた。今シーズンは、27節終了時点で14勝10分3敗の2位(勝ち点52)と好位置につける。チームが好調な要因について、フリアン・マリン・バサロ監督は「大半の選手と2年間一緒にやってきた。しっかりとしたベースがあっての結果だ」と強調した。


Jリーグに参入するには、「Jリーグ百年構想クラブ」の認定や「J3クラブライセンスの交付」などの要件が必要となるが、奈良クラブは「JFLでの競技成績」以外をほぼ達成。とりわけ、「ホームゲームの1試合平均入場者数2000人超え」が課題となっていたが、残りホーム2試合を残して要件をクリアした。この集客面を精力的にサポートしたのが大和信金だ。



ON奈良クラブ2
「奈良学園大学&大和信用金庫マッチデー」で、職員(左)は子どもたちに札勘のコツを教えた(9月24日、ロートフィールド奈良)

同信金は、渉外担当者らによる取引先や個人顧客への周知活動を継続的に展開。ホーム全試合の集客に協力した。9月24日のヴェルスパ大分戦は、「奈良学園大学&大和信用金庫マッチデー」として開催。試合前には、職員が練習用の模擬紙幣を使った札勘体験を実施。子ども100人にお札の数え方を教えた。同日は今季2番目となる5261人の動員に成功。中村正德専務は「(奈良クラブと)ともに奈良県を盛り上げていきたい」と力強く語った。


同信金による支援は21年12月、奈良クラブの浜田満社長と三郷町の森宏範町長が、産官学金で連携した「奈良クラブ新拠点プロジェクト」への協力を要請したのがきっかけだ。このプロジェクトは、地域交流の促進やサッカー選手育成などを目的とした新拠点(23年1月完成予定)を建設するもので、同町や奈良学園大学などが参画。新施設は、選手の練習場だけでなく、県内外の子どもたちの合宿所や地域向けのスポーツ教室、地産地消カフェなど、幅広い分野での活用が想定されている。スポーツツーリズム推進への期待も大きいという。



ON奈良クラブ3
第27節、アウェーのクリアソン新宿との一戦には、奈良県からもサポーターが駆け付け、選手たちを応援した(10月29日、味の素フィールド西が丘)

2月の記者会見で故・森川善隆理事長は「包括連携協定を締結するなど、縁が深い三郷町長からお願いがあった。地域金融機関として支援するため全面的に協力する」と約束。新拠点建設にかかる7億円近くの融資を単独で実行した。今後も、設備資金などの供給で協力していく考えだ。


Jリーグ参入に向け、奈良クラブが残す要件は、「JFL4位以内、かつJリーグ百年構想クラブのうち上位2クラブ」だけだ。11月5日にロートフィールド奈良で開催するヴィアティン三重との一戦で勝利すると、J3昇格が決まる。Jリーグ参入が決まれば、県外のサポーターが応援に駆け付けるなど、観光面でも大きな起爆剤になり得る。スポーツ振興を通じて地域活性化に挑む金融機関の姿がそこにあった。

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