経営者保証の解除加速 指針改正で説明責任強く 金融庁
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金融庁は経営者保証の解除加速へ、2023年4月に監督指針を改正する。徴求理由や解除方法について金融機関が求められる説明責任を強め、取り組み方針の情報開示などで工夫を求める。モニタリングでは、保証を徴求する場合に中小企業の経営者から理解を得られているかを重視していく。
11月1日に監督指針の改正案を公表した。12月1日まで意見を公募する。金融機関側の準備に一定期間が必要になると判断し、23年4月1日の施行を目指す。
これまでの指針では、経営者保証の法的効果やリスクを説明し、融資先に説明を受けた事実を確認することなどを促してきた。新指針では、確認結果の記録や、解除に必要となる具体的な要件の提示も求める。金融機関は事業者の財務健全性や収益力について、求める数値基準を可能な限り開示する努力が必要になる。
保証の徴求に関する姿勢や取り組みの状況を分かりやすく顧客に伝えることも求める。現在、多くの金融機関がウェブサイトで「経営者保証に関するガイドライン(GL)」を順守する方針を公表している一方、実務面の具体的な方針を明示しているケースは少ない。「開示基準を作って一律に公表を求めることは避けるが、それぞれの金融機関がベストと考える取り組みを広げ、顧客に周知してもらいたい」(同庁関係者)考えだ。
新指針に書かれた内容の多くは、これまでもGLで示され、各金融機関が順守を約束してきた。このため、同庁は金融機関の負担が大きく増えることはないと見込む。制度上、重大な問題が見つかった金融機関に対しては業務改善命令も検討するが、現時点では「よほど企業から寄せられる苦情の増加などが見受けられない限り、ことさらに新たな対応を採る予定はない」(同)という。
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今回の監督指針改正に至る検討入りを報じた先行記事です。
経営者保証解除に取り組む金融界の動きを3回シリーズで追った特集記事です。掲載後、大きな反響を呼びました。
金融庁幹部に経営者保証に関する方針を聞いたインタビューです。
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