盛岡信金、青森県のセミナーでSDGsの取り組み披露
2022.10.28 21:47
盛岡信用金庫(岩手県、浅沼晃理事長)は10月28日、青森市で行われたESG(環境・社会・ガバナンス)金融や脱炭素経営に関するセミナーで、同信金のESGやSDGs(持続可能な開発目標)に対する取り組みを披露した。髙木恵証・企画部長が講演し、企業や金融機関の関係者など約60人が耳を傾けた。
中小企業に脱炭素経営に関する情報提供を行う目的で、青森県地球温暖化防止活動推進センター(渋谷拓弥センター長)と青森県などが主催。金融機関のSDGsの取り組みに対する要望があったため同分野に積極的に取り組む盛岡信金に講演協力を依頼した。
主催者あいさつで、渋谷センター長は「ESG金融に対する知識を高め、行動を起こすことを一刻も早く進めなければならない」、青森県環境生活部の細谷健司課長は、「地域におけるESG金融の拡大は、環境と経済の両方の観点から重要」と述べた。
髙木氏はまず、同信金のSDGsの考え方について「『共存同栄』に基づき地域経済、地域社会、地域環境の3つの側面から、利益の最大化ではなく、お客様の課題解決を使命として各施策に取り組んでいる」と強調。地方自治体と立ち上げたSDGsファンドや地元の書店と連携した取り組み事例などを説明した。書店と連携した「象と花」プロジェクトは、古本をクリーニングして販売し、売上の10%を絵本の購入代金に充て、慢性疾患などで長期入院する子供たちへ新品の絵本を贈るもの。全店に古本回収ボックスを設置し、活動に賛同する協力企業も増えている。
また、10年以上前から岩手県紫波町で行っている再生可能エネルギーを活用した地産地消方式の環境ビジネスも披露。「地域内で得たエネルギーを地域内で消費することを促進して、新たな資源や雇用を促進するよう支援している」とし、同町で6月15日の信用金庫の日に合わせて森林環境保全活動も行っていることも付け加えた。
このほか、ESG推進室を設置し、職員の人材育成や取引先企業の脱炭素化の支援、環境に配慮した店舗・職場づくり、金庫イメージやブランド力の向上などの取り組みにも触れた。
髙木氏は今後について、「自治体や地元の企業と連携して再生エネルギー事業にかかる循環型社会の形成へ取り組みを強化したい。県外の大手企業によるプロジェクトに依存するのではなく、エネルギーの効率利用や地域資源の活用、お金の地域内循環による循環型社会の形成に向けた取り組み強化を考えている」と話した。
セミナーでは髙木氏のほか、環境省環境金融推進室の藤田梨恵子課長補佐が「地域社会の脱炭素化に向けて」、東北財務局の田村嘉啓・理財部長が「金融行政・地域金融機関の取り組み」をテーマに講演した。
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