【Discovery】専門家に聞く 老舗に学ぶ持続可能経営 

2022.10.28 04:45
インタビュー
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TDB_上西情報統括部長

帝国データバンク 情報統括部長


上西(かみにし) 伴浩(ともひろ)氏


環境保護のキーワードである「サステナビリティ(持続可能性)」の概念を、企業経営にも取り入れる風潮が強まっている。何度も景気変動や自然災害、パンデミック(感染症の世界的大流行)などの危機を乗り越えながら、1世紀以上にわたって事業の持続可能性を体現してきた老舗企業には学ぶべき点が多い。帝国データバンクの上西伴浩・情報統括部長に、老舗企業に共通する”長寿”の秘訣を聞いた。


生き残る秘訣は「現状に満足せず」


日本は世界有数の老舗大国だ。10月12日に公表した「全国『老舗企業』分析調査(2022年)」では、業歴100年超の企業数が初めて4万社を突破した。毎年およそ1000~2000社が100周年を迎えるため、今後も増加が見込まれる。


老舗企業の売上高をみると小規模企業の割合が高い。約45%が1億円未満で、1億~10億円未満を合わせると8割を超える。現在の代表者の就任経緯が同族継承だった割合は企業全体で40%なのに対し、老舗企業は77%。つまり世襲型のファミリービジネスが多い。老舗の後継者不在率は、全体の61%よりも低い49%だった。


老舗が長年、生き残ってきた秘訣はなんだろう。時代の変化に対応できない企業は生き残れないとは言われるものの、変化に対応した企業がすべて上手くいっているかといえば、そうではない。これまで多くの企業経営者に話を聞いてきたが、著名な老舗企業に共通するのは「現状に満足せず」という経営姿勢だ。


さらに、お金儲けではなく、その地域や業界のために貢献することにこだわる。マーケットの変化に合わせてモノやサービスを変える際、勘と経験だけに頼らず、先代や先々代にも目や耳で確かめてもらいながら商品開発をする。これらも老舗の共通項だった。


「ゾンビ企業」を救うには本業支援


最近は、コロナ関連融資で過剰債務を抱えた企業の出口戦略が政治的課題となっている。当社が保有する企業財務データベースから推計して、国際決済銀行の「ゾンビ企業」の基準に合致する国内企業数は約16万5000社。全企業の約11%に相当する。また、22年2月に実施したコロナ関連融資に関するアンケート調査では、回答したゾンビ企業の約8割がコロナ関連融資を利用していた。


金融機関はこれらの企業をどう支援すべきか。金融支援ももちろん大事だが、より重要となってくるのが本業支援だ。それによって売り上げが増え、粗利益を確保できれば、倒産を回避できる。さらに、老舗のように信用がある企業は、たとえ赤字でも取引が途絶えにくい。一口にゾンビ企業といっても全て同じではないので、それぞれの中身をしっかり見ることが大切だ。


逆にいえば、どうすれば当該企業が儲かるかを一緒に考える本業支援こそが、金融機関にとっては今後の生きる道となるだろう。その際、留意してほしいのは相手の立場になって考えること。自分がその会社の社長だったら、もしくは営業部長だったらどうするか。マーケティング分析などの知識も必要だが、本当に相手の役に立ちたいという想いが先になければ本業支援を成功させるのは難しいだろう。

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