外為市場、NY時間帯に円急騰 「介入」観測・報道で

2022.10.22 11:49
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10月21日のニューヨーク外国為替市場で、日本円が米ドルやユーロなど他の主要通貨に対し急騰。ドル円相場は、日本の金融当局による為替介入実施観測・報道が広まり、一時5円超の円高(ドル安)となった。


20日(日本時間)に1990年8月以来の円安水準となる1ドル=150円台を付けた同相場。翌21日も円安基調が続き、ロンドン市場では152円に迫る場面もみられるなどその流れは加速。9月22日に、政府が24年ぶりの「円買いドル売り介入」に踏み切って以降、追加介入への警戒感などから比較的安定して推移してきたが、〝節目超え〟で再びボラティリティ(変動率)の高まる値動きとなっていた。


鈴木俊一財務相は21日の会見で「高い緊張感を持って注視するとともに、過度な変動に対しては適切な対応を取りたい」と足元の相場動向を踏まえつつ、投機筋らをけん制した。


〝転換点〟は取引の主戦場が「ロンドン」から「ニューヨーク」に移る21日23時30分ごろ。ドル円相場では円安進行が一服し、151円半ばで一進一退の値動きが続いていたなか、急激に円高に振れ、22日1時ごろには146円台前半を付けた。同時間帯、対ユーロも148円台から144円付近に、対ポンドは169円半ばから165円を下回るなど主要通貨比で軒並み急騰した。


マーケットでは、為替介入実施の観測・報道に伴う海外市場での円急騰を「サプライズ」(第一生命経済研究所の熊野英生氏)と見る向きが強い。日本政府による単独介入の場合、東京市場(日本時間の主に日中時間帯)が一般的。海外市場で介入する場合、FRB(米連邦準備制度理事会)やECB(欧州中央銀行)などに依頼(委託介入)して行う必要があり、海外当局の協力が不可欠なため、実施のハードルが上がる。


一方、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)から一定以上の乖離がある為替変動は、「経済に悪影響を及ぼす」という主要国(金融当局)間でのコンセンサスがあり、足元の値動きはその「許容範囲」を超えた可能性が高い。また、急速な金融引き締めや資源・エネルギー価格の高騰、中国経済の減速によって、世界経済の先行きに不透明感が漂うなか、円高方向への「巻き戻しリスク」を警戒する見方が強まり、海外投機筋らによる過度な円安進行の抑え込みへ、強力な〝実弾〟で再び応じたとの見方も出ている。


熊野氏は「(9月22日の)前回介入時と同様、円安圧力の抑え込み効果を長持ちさせるため、マーケットが閉まる週末直前のタイミングを見計らって踏み切った」と推察する。

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