【推薦図書】「大御所 徳川家康 幕藩体制はいかに確立したか」(三鬼清一郎著)
2022.10.21 04:45
【推薦者】青山学院大学教授 落合 功氏
人生の「仕上げ」をどうする
来年度の大河ドラマは「どうする家康」である。ストーリーはわからないが、家康の生涯を紹介するようだ。「家康の時代」とは、権力が脆弱な室町時代から、強力な統一政権を創出した時代である。その具体的な背景は、家康の持つ能力、すなわちリーダーシップ、忍耐強さ、協調と冷徹さ、理解と配慮、そして平和への強い意志である。家康はいずれも卓越した能力を有していた。
『大御所徳川家康』は、家康が将軍を秀忠に譲り、大御所となった11年間を紹介している。75年の生涯のうちの晩年である。大御所時代は関ヶ原の戦いも終わり、豊臣家の滅亡が最後の政治的課題に思われがちだがそうではない。家康にとって、まさに人生の「仕上げ」の時代である。この時期の家康の手腕は、天下統一だけでなく「仕上げ」にこそ発揮されたと言えるだろう。その「仕上げ」は、100年以上の戦乱の世に終止符を打ち、250年もの平和を実現した。自身の人生の経験を「仕上げ」に如何に生かしたのか。ぜひ、一読して欲しい。
(中公新書、税込924円)
関連キーワード
おすすめ
アクセスランキング(過去1週間)
- 中堅の外資生保、乗合代理店からの要求に苦慮 変額保険手数料で
- 地域金融機関、半数の250機関が預金減 金利戻りパイ奪い合い
- 八十二銀、AIモデル開発50種に 投信販売モニタリングも
- 広島銀、金利再来でALM改革 各部門の収益責任 明確に
- 多摩信金、住宅ローン168億円増 業者紹介案件が4割強
- 横浜銀や静岡銀など20行庫、生成AIの実装拡大へ 検証結果・最善策を共有
- 金融庁・警察庁、URL貼付禁止案を軟化 銀行界から反発受け 不正アクセス防止で
- カムチャツカ半島付近でM8.7の地震 一部金融機関の店舗で臨時休業
- 信金中央金庫、栃木信金に資本支援 資本注入ルールを改定
- 北国FHD、次世代「勘定系」を外販 初期導入費ゼロで28年1月から