全銀協、「顧客本位」申し合わせ 仕組み債問題で各行の実態把握 

2022.10.13 19:27
全銀協 仕組み債
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会見する半沢・全銀協会長(10月13日、銀行会館)

全国銀行協会は10月13日、金融庁がSMBC日興証券と三井住友フィナンシャルグループに対して同7日に行政処分などを行ったことを受け、「お客さま本位の業務運営の徹底」について全銀協理事会で申し合わせを行なったと明らかにした。また、同日に半沢淳一会長(三菱UFJ銀行頭取)が会見で、仕組み債問題を受けて、会員行向けに実態把握のためのアンケートを実施する意向も述べた。


「お客さま本位の業務運営」徹底の申し合わせは、以前もカードローン問題などの際に実施されたもの。今回の申し合わせ内容は大きく2点で、1点目は顧客の知識・経験、資産背景・財務状況、リスク許容度、取引目的などに即した適合性の判断と、顧客のニーズを踏まえた適切な商品・サービスの提案およびフォローアップを徹底すること。


2点目では、顧客に関する情報について「資産運用や資金調達などの金融取引の基礎をなすものであり、適切な管理がなされることが極めて重要」と明記。業務を通じて取得した顧客に関する情報に関して、関係法令などを遵守し、適切な情報の取り扱いを徹底するとした。


今回の事件は銀証ファイアウォール規制緩和の議論への影響が懸念されているが、半沢会長は「規制の見直しが貯蓄から投資への加速を通じた家計、企業の課題の解決、またグローバルに競争力のある本邦資本市場の確立に不可欠」との考えを表明。証券外務員の二重登録の禁止規制や、発行体向けのクロスマーケティング規制などの緩和が顧客のためにも必要だと訴えた。


仕組み債問題に関しては、想定顧客の明確化や分かりやすい情報提供の観点などで集中的な検討を行うために「顧客本位検討部会」を設置するとともに、会員行向けアンケートを実施したことを明らかにした。その集計結果から、銀行の仕組み債販売総額が過去5年間、横ばいで推移してきたことや、苦情件数が20年のコロナショック時に増加したものの足元では減少傾向であることが分かったという。ただ、各行ごとに金額・件数や販売実態にばらつきがあるため、より詳細なアンケートを実施する。


半沢会長は「販売実態の深掘りを進めながら、顧客選定における各行の検討・検証プロセスの高度化や、重要情報シート等のルールの実効性向上を模索していきたい」と述べた。

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