【推薦図書】『指導者とは』(リチャード・ニクソン著)

2022.10.14 04:45
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【推薦者】三菱UFJニコス副社長 榎本 真樹氏


リーダー論の中のリーダー論


37代米国大統領によるリーダー論。コロナ禍、ウクライナ問題等を機に、従来にも増して各国リーダーの言動に注目が集まる中、同書を思い出した。面白い。


先ず本書の魅力はニクソンが実際に会った同時代の指導者を比較して見せるところ。例えば、「マッカーサーのみごとな独白、ドゴールの雄弁、吉田茂の相手を立てるユーモア、周恩来の座談にきらめく詩…今日の政治家のおしゃべりに比べると、子供の絵に対するレンブラントの名画のおもむきがある」といった具合。


アジアのリーダーにも注目し、特にニクソン時代に関係を正常化した中国の周恩来については、「周のような態度こそ、中国人が文化や思想面での自己究極的な優位性を信じ、やがてアメリカだけでなく世界のどこにも負けない国になるという自信のほどを物語るもの」と先見性を見せている。


終章「指導者の資格について」では、「指導者にとって、最もよく発せられる最も答えるのに困難な問いは『立派な指導者であるための最も大切な資質は何か』である」と言っているが、ここでのニクソンの答えは数多のリーダー論の中でも強い説得力を持つ。


国、会社、組織、状況などに応じ求められるリーダー像があるが、国のリーダーが究極的なリーダーの姿とすれば同書から学ぶことは多い。


(文春学藝ライブラリー、税込1826円)

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