金融マン必須のIT知識⑪ 業務改革の検討に当たっての取組
2022.10.16 04:50
こんにちは! 情報処理技術者試験「ITパスポート試験(iパス)」の公式キャラクター、上峰亜衣(うえみね あい)です。このコラムでは、ITパスポート試験の公開問題の中から、金融業界で活躍されている皆さんに特にオススメの問題を、月に一度ご紹介しています。今月の問題は「業務改革の検討に当たっての取組」についてです。
ITパスポート試験(iパス)問題例(公開問題 令和4年度分 問35)
問 あるコールセンタでは、AIを活用した業務改革の検討を進めて、導入するシステムを絞り込んだ。しかし、想定している効果が得られるかなど不明点が多いので、試行して実現性の検証を行うことにした。このような検証を何というか。
- ア IoT
イ PoC
ウ SoE
エ SoR
解 説
正解は「イ」
PoCとはProof of Conceptの略であり、新しい概念や理論、原理などが実現可能であることを示すための簡易な試行のこと。
なお、「ア」のIoT(Internet of Things)は、あらゆるモノをインターネットに繋げることによって新たな価値の創出を図るもの。「ウ」のSoE(Systems of Engagement)は、データ活用を通じて人との関係性の構築や顧客対応を意図するシステムのこと。「エ」のSoR(Systems of Record)は、構造化、標準化、正規化されたデータを処理し、記録することを目的とするシステムのこと。
(亜衣)AI、ブロックチェーンなどの先端技術を活用したり、新規性の高いサービスを立ち上げたりする際は、やってみないと分からない面も多いので、実現可能性を検証するPoCを実施することが多くなっています。一方で、PoCが繰り返されるばかりで先に進まず、事業化に至らない、いわゆる「PoC貧乏」に陥ってしまう例も見られます…。
(亜衣)そのような事態を回避するため、企業間の事業連携においては、PoCの段階から契約を結ぶことが推奨されています。経済産業省が公表している「スタートアップとの事業連携及びスタートアップへの出資に関する指針」によれば、PoC契約の交渉を通じて、PoCのゴール、対価設定、共同研究開発への移行条件について共通認識をもつコミュニケーションを図ることが重要とのことです。PoCを成功させて、DXの実現を目指しましょう!
執筆:独立行政法人情報処理推進機構/国家資格・試験部 原田明理
参考:スタートアップとの事業連携及びスタートアップへの出資に関する指針(詳しくはこちら)
ITパスポート試験とは:
経済産業省が所管する情報処理技術者試験の一区分で、ITを利活用するすべての社会人・学生が備えておくべき、ITに関する基礎的な知識が証明できる国家試験です。出題範囲は、ITや情報セキュリティの基礎知識だけでなく、コンプライアンス、経営全般に関する基礎知識など幅広い分野にわたります。当試験は、会場のコンピュータで解答するCBT方式により、通年で随時実施しています。
最終回となる次回は11月20日に公開します。過去の掲載分はコチラ