「ESG課題に向き合う」 石川・信託協会一般委員長
2022.10.12 04:46
少子高齢化対応やESG(環境・社会・ガバナンス)などで、信託の果たす役割が大きくなっている。信託協会の石川恭一般委員長(三菱UFJ信託銀行取締役専務執行役員、59歳)に取り組み方針などを聞いた。
――重点項目は。
「信託機能をよりよく活用して、社会経済課題解決の役に立ちたい。具体的には、DX(デジタルトランスフォーメーション)の促進、ESG課題への取り組み、家計の資産形成・管理・次世代への承継に関して取り組むことだ。また、信託への信頼を高めることも重要と考えている。1922年に信託法が制定されてから今年で100年の節目の年であり、培ってきた信頼がある。それをさらに高めていきたい」
――ESGの取り組みは。
「グローバルベースで脱炭素の重要度が増している。機関投資家として責任感を持って行動するとともに、企業がガバナンスに関して困っているときには支援する。19年度の税制改正要望から、役員報酬制度において、損金算入が認められる業績連動給与の算定指標に財務的要素ではないESG関連の指標も入れるよう要望している。企業を動かすことで社会を変える取り組みを後押しする。評価の透明性・客観性が担保されるのか、恣意性をどう排除するのかなどの意見もあるが、解決していきたい」
――高齢化社会への対応は。
「高齢者や家族が一番心配されるのは、認知レベルが下がった時の資産管理リスクだ。家族の人に引き継ぐのでも、やはり認知機能の低下は影響する。教育資金贈与信託や相続業務により支えていく。信託会社が増えたことを受け、信託商品の案内方法をまとめた事例集も作った。参考にしていただき、信託業界をあげて社会課題解決に取り組みたい」
――規制改革要望については。
「5月31日に暗号資産を信託銀行で受託できるようにする規制改革要望を提出した。その後、兼営法施行規則案と監督指針案の意見募集が行われた。施行されれば、信託銀行に暗号資産の受託が解禁されることになる。信託の仕組みを活用し、より安全に暗号資産を活用できるようになる。国際競争力を高める意味でも大きな一歩だ」
(聞き手=山田 正光)
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