信託協、100回目の信託大会 「次世代の信託検討」

2025.04.09 19:09
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信託機能の発揮に向けた抱負を語る窪田・信託協会長(4月9日、経団連会館)
信託機能の発揮に向けた抱負を語る窪田・信託協会長(4月9日、経団連会館)

信託協会は4月9日、第100回の節目となる信託大会を開いた。信託業界関係者約550人が経団連会館に集まった。来賓で加藤勝信・財務相兼金融担当相と植田和男・日本銀行総裁が出席した。


窪田博会長(三菱UFJ信託銀行社長)は冒頭の挨拶で、1926年に信託法・信託業法の制定以降、戦後の経済復興と高度経済成長を支えた貸付信託をはじめ、投資信託、企業年金、相続に対応した各種商品などのサービスについて言及。「社会からのニーズに合わせて多彩な機能を提供することで重要なインフラとして発展を続けた」と語った。そのうえで、資産運用立国・投資立国の推進、社会課題解決に向けた取り組み、デジタル・信託活用の高度化の三つの重点方針を示し「協会100周年を機に、次世代に向けた信託の活用について検討したい」と意欲をみせた。


また、トランプ政権の相互関税政策については世界的に株価が大幅に下落している点を挙げ、「欧米を始めとした各国には金融緩和余地があることが経済の支えになる」との見方を示した。加藤大臣は「まずは資金繰り対策など必要な対応に万全を尽くす」と強調。資産運用立国の実現に向けた金融庁の機構改革や金融機関の役割の重要性などについて語ったうえで「今後ともお互いに知恵を出し合いながらさまざまな課題に取り組んでいただきたい」と述べた。


日銀の植田総裁は「これまでの100年と同様、社会課題の解決や社会的価値の創出を実現していくことを期待する」と話した。


東京大学大学院の沖野眞已教授は「家族信託をめぐって」をテーマに講演した。信託法の変遷や認知症急増に伴う信託の役割、家族信託の裁判例について解説。家族信託を巡る親族トラブルが法廷で争われるケースが目立っており、「信託はさまざまな利用可能性があるがなかなか使ってもらえず、『信託は泣いている』とも言われている。しかし、信託銀行や信託会社がサポート役として知識の普及や相談、モデルの提示で活躍していただく機会は非常に多く(社会から)期待されている」と語った。

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