会計検査院、「フラット35」不適切事案を指摘 第三者賃貸など約19億円
2022.10.05 19:51
会計検査院は10月5日、長期固定金利の住宅ローン「フラット35」をめぐり、融資対象物件が第三者に賃貸されるなど本来の要件に適合しない案件が56件・18億9089万円あったと公表した。制度を運営する住宅金融支援機構に対し、こうした不適切な事案が発覚した場合、債務者への全額繰上償還請求などの措置を講じるよう是正を求めた。
同機構への会計実地検査を通じて把握した。具体的には、2017、18年度に融資実行されたフラット35の買取債権のうち、中古マンション7100件(セカンドハウス762件を含む)を抽出して調査。債務者が自ら居住せず第三者に賃貸していた例が45件・15億1735万円、事務所などに用途変更していた例が11件・3億7353億円あった。
検査院は、不適切な事案が発生した要因として、機構が「融資後の状況を十分に把握できていない」と指摘。会計検査院法34、36条に基づき、事後調査の体制整備や、債務者が調査に応じない場合の対応について規程を定めるよう意見表示した。さらに、第三者賃貸などが発覚した場合は、債務者に全額繰上償還請求などを講じるよう是正処置も要求した。
フラット35をめぐっては、同機構が19年に、特定の不動産業者の関与のもと、自己居住用と偽って投資用物件の購入に不正利用された案件が162件あったと公表。不正事案を受け、同機構は「居住実態調査」などの再発防止策を導入した経緯がある。
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