【Discovery 専門家に聞く】ウェブの広告戦略

2022.09.15 04:45
インタビュー Discovery
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Macbee Planet 代表取締役社長 千葉 知裕氏


インターネット広告で対象を絞った効果的な訴求を


電通が2月に発表した「2021年日本の広告費」によると、インターネット広告費(グラフ)は前年比21.4%増の2兆7052億円。国内の総広告費6兆7998億円の約4割を占める。ネット広告の市場規模は右肩上がりで拡大しており、年率10~20%の高い成長率を維持している。


ネット広告を主体とするウェブマーケティングの可能性は幅広い。テレビCMや看板などオフラインの広告は、それを目にした人のうち何人が実際に購買や契約につながったのかを可視化するのが難しい。一方、オンラインの広告はそれぞれの顧客の流入経路をたどって、成果につながるまでの過程を可視化できる利点がある。


コロナ禍で社会のデジタル化が急速に進んだ影響もあり、今後もウェブマーケティングの需要は高まるだろう。ただ、広告の成果という「質」をより重視したマーケティングへの関心が強まっていく可能性が高い。22年の調査では、デジタル広告予算の37%が「(男性に女性美容エステの広告を配信するなど)誤ったオーディエンス」に配信されているという結果も出ている。さらに、「Cookie規制」を含め、ネット上での個人情報保護の規制が日本でも強化されており、ネット広告の難易度は従来よりも上がっている。


そうしたなかで注目されているのが、個人情報を特定できないデータを基にマーケティングの精度を上げるデータマーケティングだ。この手法では、データを解析する技術やエンジニアの確保が重要になる。当社のビジネスモデルもその一つであり、「LTV(ライフタイムバリュー=顧客生涯価値)マーケティング」という呼称で展開している。


具体的には、一般的なデータやクライアントから入手したデータを融合して、マーケティングすべき対象を明確にしたうえで、ターゲット層が集まりやすいサイトを分析して広告を出す。


実際に証券口座の開設やカードローンの申し込みでは効果が出ており、金融商品とデータマーケティングの相性は極めていい。投資信託や契約期間の長い保険商品も同様だと予測している。


料金体系は、広告の出稿量ではなく成約件数に応じて課金する「成果報酬型」のため、導入障壁はない。1契約ごとにクライアントが料金を支払う形のため、成果が出なければクライアントのコスト負担は発生しない。現状で金融機関の利用が多いのは、口座開設やローン申請などによる新規顧客の獲得だ。


その他にも、商品・サービスを繰り返し利用してくれる顧客層を開拓したり、既存顧客に商品・サービスへの愛着を高めてもらうための訴求方法もあり、データマーケティングは大きな可能性を秘めていると考えている。

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