全銀協5委員長に聞く➀宮下・企画委員長 多段階で企業支援

2022.09.15 04:45
インタビュー
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全国銀行協会(半沢淳一会長=三菱UFJ銀行頭取)は、2022年度を「サステナブルな環境・社会構築に向けて、新たな価値創造・成長への挑戦を支えていく一年」と位置付ける。企画、業務、市場国際、事務、公共の5委員長に、それぞれ重視するテーマを聞いた。初回は宮下裕・企画委員長(三菱UFJ銀行取締役常務執行役員)。


――22年度の取り組みは。
 「パンデミックリスク・地政学リスクなど不透明な状況下では、リスクの顕在化や危機の同時多発にも耐えうる強靱さの確保と、新たな価値創造や成長への挑戦を可能とする社会環境の整備が不可欠。銀行界として諸課題にしっかりと向き合い、自ら挑戦していく」



 ――長期化するコロナ禍での顧客支援は。
 「ゼロゼロ(実質無利子・無担保)融資の返済が進み、企業再生をどう支援していくかが重要。必要資金の融資に加え、本源的な収益力回復に向けたコンサルティングや後継者探しも含めたM&A(合併・買収)支援機能の発揮に努める。それでもやむを得ない時は、リスケの相談や事業再生など多段階で支援する」


――気候変動など開示対応は。
 「開示は銀行経営にとって大事なツール。投資家やお客さまなど外部のステークホルダーに理解していただければ、銀行の企業価値も見てもらえる。気候変動開示は、IFRS傘下のISSB(国際サステナビリティ基準審議会)が公開草案を公表し、全銀協からもコメントを提出した。22年内をめどに最終化される予定で、引き続き議論に参加する。人的資本の拡充や多様性の確保も、銀行が持続的に成長するために重要であり、取り組みを進める」


――金融リテラシー向上へどう取り組む。
 「昨年12月に日本証券業協会と金融経済教育の推進に関して連携・協力することに合意し、MOU(基本合意書)を締結した。全銀協では、日証協の『金融・証券インストラクター』と同様の制度を今後創設する。元銀行員の登録を促すとともに既存の日証協の制度にも登録を依頼し、互いの人員を強化する。既に学校の先生向けセミナーを実施したが、今後は若い社会人にも行う予定。金融リテラシー向上を大きな潮流とすべく、関係当局とも協働する」


――ファイアーウォール規制が緩和されたが。


「6月に上場企業等の情報授受に関する規制の緩和や、お客さまの同意取得手続きの簡素化などが実現した。銀行界としては、利益相反管理や優越的地位の濫用の防止、お客さまの情報管理などの弊害防止措置にしっかり取り組む」


◆宮下 裕氏(みやした・ゆたか)=大阪府出身、54歳。90年京大卒、三和銀(現・三菱UFJ銀)入行、20年6月取締役常務執行役員、22年4月三菱UFJFG代表執行役常務グループCSO。

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