厚労省 デジタル給与を解禁 上限100万円で来春にも
2022.09.13 17:13
厚生労働省は、資金移動業者口座への給与振り込みを2023年春にも解禁する。9月13日に開かれた労働政策審議会の労働条件分科会で、労使を代表する委員らが大筋で合意に至った。安全性を確保するため、口座には100万円以上の資金滞留を禁止するなど制限を設ける。
同分科会で次に議題として取り扱う際、同省がデジタル給与に参入する移動業者に求める要件などを定める省令の要綱案を公表する。幹部は22年度中に労働基準法施行規則を改正し、給与を振り込める金融機関に移動業者を追加したい考えを示した。
対象の移動業者は、資金決済法で送金上限額を100万円に規制される第2種業に限定する。ただ、口座に高額資金が滞留する可能性が残り、安全面の課題が指摘されているため、100万円以上の資金滞留を禁止する。利用者の残高が100万円を超えた場合、当日中に指定された銀行口座などに超過額を送金する仕組みの構築を求める。
こうした対策は、安全性の面から解禁に慎重な姿勢を貫いてきた労働者代表の委員からも「前進している」と評価を得た。ただ、議論の過程で厳しい規制を設ける展開になったため、「参入できる移動業者はある限定される」(同省幹部)見込み。移動業者の破綻に備え、確実に全額を返還できる態勢整備も条件に据える。保証機関を活用する場合は、同省が保証契約の内容や保証機関の財務を定期的に確認する。
制度化により、労働者はスマートフォン向けキャッシュレス決済サービスでの給与受け取りが可能になる。日常的な買い物や送金に使う目的で給与の一部をデジタルマネーで受け取れば、生活の利便性が高まる。アルバイトや、銀行口座を持たない外国人による需要も見込まれる。
デジタル給与を解禁する方針は20年に閣議決定されたが、同分科会で労働者代表の委員らが反対を続け実現が遅れていた。同省は労働者の自由意志確保や移動業者の安全性担保など、指摘される課題への対応策を一つずつ用意し、水面下の交渉も経て理解を得る段階に至った。
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