中企庁 ゼロゼロ借り換え策検討 サービサー活用も
2022.09.12 04:42
中小企業庁は事業者の「脱・コロナ禍」を後押しするため、政策を総合的に見直す。実質無利子・無担保(ゼロゼロ)融資を借り換えられる保証制度を用意することや、中小企業活性化協議会が事業再生にたけたサービサー(債権回収会社)と連携できる仕組みを新設することを検討する。ゼロゼロ融資と危機対応融資は9月末で全面的に終了する一方、日本政策金融公庫の制度融資や信用保証協会の保証制度を拡充・延長して資金繰り支援を続ける。
「中小企業活性化パッケージNEXT」として、9月8日に見直しの方向性を打ち出した。ポストコロナを目指して段階的に政策を切り替え、足元の物価高騰にも対応する。
2020年3月に始まったゼロゼロ融資は、延長を繰り返して温存してきた政府系金融機関による取り扱いを終える。その一方で、「23年には返済開始が本格化するため、借り換えを進められる環境を整備する」(同庁金融課)方針。
一定の資金繰り支援策を残す狙いで、100%保証のセーフティネット保証4号などの期限は12月末まで延長。経営改善を促すため、金融機関の伴走支援を条件に信保協の保証料を引き下げる制度については、10月にも保証限度額を現在の6000万円から1億円に引き上げる。
さらに、過剰な債務を抱えた結果、抜本的な事業再生が必要になる企業が増えることも想定。サービサーに対するニーズが高まることが予想される一方、サービサーによる債権買い取りを通じて債権者が変更することに抵抗感を持つ経営者も多いため、公的機関である中小企業活性化協議会とサービサーが連携して再生支援に取り組めるスキームを新たに構築する。金融機関に対しては、地域経済活性化支援機構などが立ち上げるファンドの活用も促す。
中小企業活性化パッケージの策定を踏まえ、岸田文雄首相と鈴木俊一財務・金融相ら閣僚4人は9月9日に官民の金融機関に対して事業者支援を徹底するよう改めて要請文を発出。「メイン・非メインの金融機関が密に連携し、丁寧かつ親身に対応すること」などを求めている。
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