コロナの「みなし入院」対象者を見直しへ 生保業界
2022.08.31 20:09
生命保険業界は、新型コロナウイルスによる自宅療養などの「みなし入院」において、入院給付金を支払う対象者の見直しについて検討を始める。対象者を重症化リスクがある患者に限定する見込み。政府による感染者数の全数把握見直しの動きに合わせた形だ。
みなし入院は、コロナ禍での医療現場の負担を抑えるため、自宅やホテルなどでの療養を入院と同様に扱う特別な対応。通常は約款上、支払い対象外だが、金融庁の通達を踏まえ、支払い対象に含めてきた。みなし入院では、療養証明書をもとに入院給付金が支払われる仕組みとなっている。
見直しが検討されるのは、みなし入院の給付金支払いに必要な療養証明書の発行対象者だ。同証明書を発行するのは、65歳以上や妊婦、入院が必要な患者などに限定する。これまで対象だった軽症者などは、発行の対象外となる。対象外となった被保険者への対応は各社が判断するとみられる。通常の入院をした患者には、これまで通り入院給付金を支払う。
生命保険協会の会員42社では、新型コロナ関連の入院給付金を2022年6月末までに累計で2893億円支払い、うち9割がみなし入院によるものとなっている。足元では、第7波の急拡大により、請求件数が急増。生保各社では、迅速な支払い態勢を整えるため、人員増加などの対応を講じている。