金融庁、中国当局と規制緩和を議論 上海封鎖で支障
2022.08.25 04:40
金融庁は、3月下旬から約2カ月間に及んだ上海市の都市封鎖(ロックダウン)を踏まえ、進出金融機関向け規制の緩和について中国当局と協議する。封鎖時に業務継続が困難になった日系金融機関から、再び同様の事態が生じた場合を見据えた対応を求める声があるため。今後、その他の要望とあわせて中国側に伝達する見通し。
金融庁の中国金融研究会に参加するメガバンクや大手証券、生損保、運用会社からの要望を6月末までに集約。各金融機関に実施中のヒアリング結果も踏まえ、今後、中国の各金融当局との対話の場で伝達する。要望は具体的な制度に基づくものではないが、同庁がほぼ毎年とりまとめ、中国当局と議論している。
要望の詳細は非開示だが、今回は上海の都市封鎖を踏まえた内容が加わるもよう。封鎖時は厳格な外出禁止措置が発令され、3メガバンクなど日系金融機関は人繰りや電子化されていない手続きの遅滞、当局への報告負担などに苦慮した。当時も一部規制は緩和されたものの、再び同様の事態が生じた場合の業務継続に万全を期すため、金融機関からさらなる緩和を求める声が挙がっている。
国内金融機関が中国当局に規制緩和を要望するルートは複数ある。金融庁経由以外では、現地に進出している日系企業で構成する中国日本商会が毎年夏にとりまとめる建議などがある。今年の建議には銀行11項目、生保1項目、損保8項目、証券16項目の要望が盛り込まれた。
今年の建議には、金融を含む全産業に共通する重点分野として、2021年のデータセキュリティ法と個人情報保護法の施行に伴う問題を取り上げた。データの越境移転などに制約が出る恐れがあり、細則の早期公布や運用面の配慮を求めた。中国の国外にサーバーを設置する進出金融機関にも大きな影響が生じかねず、金融庁も問題意識を持っている。
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