預かり資産営業の新潮流 第5回 金融教育とフィランソロピー

2022.08.22 04:46
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預かり資産営業の新潮流

「預かり資産営業の新潮流」というテーマの寄稿にも関わらず、金融教育とフィランソロピーに何の因果関係があるのか?と思われる方も多いのではないのでしょうか。


フィランソロピーとは、ギリシャ語の「フィリア(愛)」と「アンソロポス(人類)」という言葉から生まれた利他的行動や奉仕活動を指し、いわゆる「社会貢献活動」のことを意味します。


本稿では、当社が実際に行なっている金融教育とフィランソロピー事業について紹介し、なぜ預かり資産営業に金融教育とフィランソロピーが重要なのかをお伝えしたいと思います。


預かり資産営業に金融教育が必要な理由


当社では、小学生から大学生・社会人を対象に、お金の価値や資産形成、リスク管理の方法などを伝える金融教育プログラム「JAM ACADEMY」を無償で提供しています。これまでも学校での授業の一環として、また学童での放課後教育として、お金について考える機会を提供して参りました。プログラムでは、お金に「興味・関心」を持たせる工夫を重視しており、受講者にとって身近な話題を切り口に、ゲームやクイズなどを交えた授業を展開しています。中学校での出張授業(京都府、22年3月)では、学生から「クイズなど楽しめるコンテンツもあって、お金への理解も深まった」という感想を頂きました。


利益にならないのに何故そこまで注力するのかと思われるかもしれませんが、理由は二つあります。一つは、我々の活動をきっかけに金融リテラシーが向上すれば、将来彼らがアドバイザーを求める際には、当社のアドバイザーが選ばれると自負しているからです。また、授業を行う社員にとっても、自分の培った知識やスキルが目の前の子供たちに役立っている実感を得ることになり、職務や会社へのロイヤリティ向上に繋がると考えています。


つまり、金融教育は未来への投資であり、他社との差別化になると考えているのです。預かり資産営業を拡大し続けるためには金融教育の機会を提供し続けることが一つの方法なのかもしれません。


預かり資産営業にフィランソロピーが必要な理由


次にフィランソロピーについて、当社の取り組みを紹介したいと思います。当社では、フィランソロピー・アドバイザー制度を設け、社会のためにお金を増やす喜びや価値をアドバイスし、運用益の一部を「寄付」に充てるというご提案を行なっております。


お客様の中には、資産運用に全く関心がない方もおり、十分な資金が既にある方は特にそのような傾向にあると思います。一方で、当然ではありますが、預かり資産営業拡大のためには資産運用に関心がない方に関心を持たせなければなりません。


お客様のニーズにただ応えるだけではなく資産運用の〝意義〟を与えることも、アドバイザーに必要なスキルだと当社は考えています。そして、その意義の一つにフィランソロピーがあると考え、NPO法人の選定からご紹介まで、当社のアドバイザーが行なっております。


最後に


以上のように、資産運用に意味を与えることで、これまで関心がなかった方に新しい価値を提供することが可能になります。また、預かり資産営業拡大のためには、お客様に資産運用について考えるきっかけを与えることができる営業社員が必要不可欠となります。


次回は、上記のような営業社員をどのように育成しているのかを当社の地銀育成プログラムを通してお伝えします。本稿が読者の皆様の一助になれば幸いです。



堀江智生氏


2010年慶應義塾大学経済学部卒業、野村證券株式会社入社。リテール営業として支店に配属される。2014 年に海外修練制度1期生に選抜され、サンフランシスコに派遣される。その後再びリテール営業に戻り、全国 3000人中1位の営業成績を挙げ、野村證券CEO表彰を受賞。2016年、野村香港に出向、機関投資家営業業務に従事。2018年、お客様の立場と長期的な視点に立った理想的な金融機関を目指し、株式会社Japan Asset Managementを創業。

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