生保4社のコロナ入院給付金18倍に 「第7波」懸念も
2022.08.19 04:40
大手生命保険4社で、新型コロナウイルス感染症の「第6波」の影響を受け、医療保険などの入院給付金(みなし入院含む)の支払いが急増している。2022年4~6月期の支払額は、前年同期比18.8倍の859億6000万円に膨れ上がった。件数も同19.3倍の71万3350件に増加した。足元では「第7波」の感染者数が高水準で推移しており、今後、更なる支払いの増加と業績への影響が懸念される。
自宅療養などの「みなし入院」が支払いの9割超を占める。請求が急増し始めたのは、「3月ごろ」(住友生命保険)で、第6波の影響が顕著に表れた形だ。4~6月期の実績には、感染者数が最多を更新した第7波の影響は反映されていないため、中間期以降の決算では入院給付金の支払いがさらに膨れ上がる可能性が高い。
基礎利益への影響も見過ごせなくなってきた。日本生命保険では、コロナ禍による入院給付金の支払い急増を背景に、22年4~6月期の危険差益が前年同期比43.4%減少。投資信託分配金が大きく伸びたためカバーすることができたが、収益の下押し要因となった。
販売戦略にも影響が出てきている。日本生命では、一時給付金を目当てに契約後すぐに給付金請求を行うなどの不正事案が複数発生。対策として8月4日から、商品名を指定するなど不自然な加入申し込みの取り扱いを急きょ取りやめた。9月26日からは、医療保険や収入サポート保険の一部商品で引受保険金額の上限引き下げを決めた。
第一生命保険傘下の第一スマート少額短期保険は、7月11日からコロナ感染を保障する「コロナminiサポほけん」の販売を停止。現時点では販売再開の見込みは立っていない。
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