多すぎ? 借金の相談員 財務省が態勢見直しへ
2022.08.08 04:40
多額の借金を抱える人から相談を受け付ける担当者が多すぎるのでは――。国の予算編成を統括する財務省が、こうした問題意識を強めている。2023年度以降、全国の財務局で配置態勢を見直すことになりそうだ。
問題視されているのは、全国10の財務局・財務支局に配置する多重債務者相談員の人数。相談件数がピーク時の約1万件から半減している一方、人数は10年以上45人前後で推移している。このため、国の予算事業の実態調査で「長らく抜本的な見直しが行われていない」と、厳しい指摘が入った。
なぜ、相談が減ったのか。契機となったのは、10年に完全施行された改正貸金業法だ。個人が貸金業者から借り入れられる金額の上限が年収の3分の1に規制され、金利の上限も15~20%に引き下げられた。その後、一時期は総量規制の対象外となっている銀行カードローンが問題化したものの、00年代半ばまで100万人を超えていた多重債務者は10万人程度まで減少。社会全体として、借金で悩む人を減らすことに成功した。
制度改正から12年。21年度の1年間で、全国の財務局に寄せられた多重債務相談は4966件。9335件の相談に応じた09年度は、相談員一人あたりの対応件数が200件を超えていたが、足元では108件にとどまる。相談事業に毎年3億円近くの予算が充てられているなか、「専門性を持つ相談員には相対的に高額な給与が支払われている」(同省)として、歳出削減の余地を見出した。
これから始まる23年度の予算編成に向け、まず提示されたのは「少なくとも一人あたりの相談件数が平均値を下回る財務局は合理化が必要」という見解。相談員の繁忙状況には地域差があるため、経済規模が小さい財務局が態勢を縮小する見込み。さらに出先である財務事務所に配置する相談員の本局への集約や、オンライン相談の活用強化を促し、効率化を図っていく。
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