FRB、再び「0.75%」大幅利上げ リセッション入りは否定
2022.07.28 12:14
米連邦準備制度理事会(FRB)は7月26~27日、連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、政策金利(FFレート)のターゲット・レンジを前回(6月)に続き0.75%引き上げ、2.25%~2.50%とした。40年ぶりの高騰が続くインフレの抑制に引き続き集中する構えを示したうえで、今後の利上げについては経済・労働環境を見つつ柔軟に対応していく姿勢を強調した。
FRBは声明で、米経済について「消費と生産は軟化しつつあるが、労働市場はとても強い。ロシアによるウクライナ侵攻もインフレ押上げの要因になっている」と分析。米消費者物価指数(CPI)は、6月も9.1%、変動の激しい食品とエネルギーを除いたコアの数値も5.9%と高止まりが続く。「今の米国人の若い世代は、これほどのインフレを経験したことがなく心配だ」(米国銀行協会幹部)と、歴史的物価高の長期化による影響や警戒感が強まっている。
ジェローム・パウエル議長は会見で、労働人口の戻りが思わしくなく、逼迫した状態の続く労働市場などを踏まえ「(インフレ緩和のためには)経済活動と労働市場が少し軟化する必要がある」と語った。
ただ、米国が景気後退(リセッション)入りしたのかどうかについては「労働市場が強い以上は、リセッション入りしたとは言えない」と繰り返した。
また、今後の利上げについて「データ次第で、利上げのペースを緩める可能性もあるが、9月に0.75%より大きな利上げを行うこともあり得る」と柔軟な対応スタンスを示した。
メガバンク幹部は「サプライズは全くなかった」と今FOMC結果を評したうえで、「インフレ回避と景気後退懸念の綱引きが続く現状で、マーケットもそこで揺れ動く」とFRBの政策スタンスを引き続き注視する。
第一生命経済研究所の熊野英生氏は「政策金利が(景気を刺激も抑制もしない)中立金利の水準に差し掛かり、今後の利上げ姿勢はこれまでと異なる。悪化を示す経済データも目立ち始め、声明文や議長会見は市場の想定よりハト派色の強い内容」と分析する。
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