IMF、アジア事務所設立25周年で討論イベント
2022.07.20 19:09
国際通貨基金(IMF)のアジア太平洋地域事務所(OAP)は7月20日、OAP設立25周年を記念したパネルディスカッションイベントを都内で開いた。IMFや財務省高官らが参加し、アジアの政策課題や国際的な経済協力をテーマに政策立案者の視点から討議した。
来日中のクリスタリナ・ゲオルギエバIMF専務理事は挨拶で、複合的リスクに直面する世界経済を踏まえ「地経学ブロックへの分断リスクが高まっている。(経済や金融の)強靭性の構築に注目することは、かつてないほど重要で喫緊の課題」と訴えた。また、〝縁起物〟の「だるま」を手に、その特性を形容しつつ「健全な経済政策と制度による強固な基盤があれば、経済ショックに直面してもすぐに立ち直る(起き上がる)可能性が高い」と強調した。
鈴木俊一財務大臣は、アジアの経済関連省庁の幹部候補生向けに提供されている奨学金プログラムなどを例に「日本政府にとってかけがえのないパートナーであるOAPは、アジア諸国に対する能力開発支援などの面で極めて重要な役割を果たしている」とこれまでの成果を称えた。
「地域の経済協力の強化へ向けて」と題したパネルディスカッションでは、慶應義塾大学の吉野直行名誉教授をモデレーターに、クリシュナ・スリニバーサンIMFアジア太平洋局長や神田眞人財務官らが参加。コロナ禍やウクライナ侵攻、世界的なインフレの加速といった問題・課題が山積するなかで積み上がるアジア地域の官民債務について、「金融環境がタイトになって金利が引き上がると債務の持続可能性に影響を与える。財政バッファーをより高める必要があるほか、信頼できる財政フレームを作らなくてはいけない」(スリニバーサン局長)など自身の考えや提言を力説した。
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