環境省、地域銀・信金とESG 航空の脱炭素など推進
2022.07.16 04:42
環境省の「ESG金融促進事業」の委託先として10金融機関が選ばれた。4年目の今回は、航空機燃料の脱炭素化へ新産業を興そうとする千葉銀行などを採択。同じ地域内の複数金融機関が連携して新しいサービスを作ろうとする取り組みや、地方公共団体と取引先の事業性評価を進める動きが広がっている。
7月11日に8件の事業を採択した。国として、ESG(環境・社会・ガバナンス)に配慮した金融の促進を目指す活動を支える。同省環境金融推進室は、「多くのステークホルダーを巻き込んでもらいたい」と話す。
選ばれたのは群馬、千葉、第四北越、静岡、伊予、愛媛の各銀行、碧海、尼崎、福岡ひびきの3信用金庫、三井住友信託銀行松山支店。伊予銀、愛媛銀、三井住友信託銀は3行連名で採択された。
脱炭素を地域活性化のカギに位置付けたのは、地元に成田国際空港を抱える千葉銀。化石燃料に比べ二酸化炭素の排出を大幅に抑えられるSAF(持続可能な航空燃料)の供給網構築を後押しし、産業育成を図る。
第四北越銀は、新潟県燕三条地区の金属加工業の脱炭素化と生産性向上を両立させる。同地域ではサプライチェーンの上層企業も同行がメインバンクを務めるケースが多く、支援が効果を発揮しやすいと見込まれるのが特徴。脱炭素化の過程では新たな投資も必要になるため、商流全体の効率化も提案して持続性を高める。
2030年までにサステナブルファイナンス実行額を2兆円まで積み上げる目標を掲げた静岡銀は、地域内の経済活動が与える社会的な影響の測定や可視化に取り組む。愛媛県では愛媛銀が事務局を務め、三井住友信託銀のインパクトファイナンスに関する知見も活用して地域課題の解決を目指す。
群馬銀、碧海信金は、それぞれ地元で自動車産業を中心とする取引先の脱炭素化を支援。福岡ひびき信金は、企業のSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた取り組みを地方公共団体が認証する制度を取引先の事業性評価に生かす。尼崎信金は、環境問題の解決に取り組む企業を対象とする独自の表彰制度を踏まえ、表彰先に対する踏み込んだ支援を進める。
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