地域金融機関、広がる副兼業 数年内に100機関超も
2022.07.10 04:42
副業・兼業を導入する地域金融機関が増えている。金融庁の調査によると3月までに43機関が導入しており、さらに77機関が導入を目指している。数年以内に100機関を超える可能性もあり、行職員の多様な働き方を後押しする動きが広がっている。
2021年3月時点で導入していたのは21機関だったが、1年で22機関増えた。内訳は、地方銀行が17、第二地方銀行が5、信用金庫が11、信用組合が10となっている。
さらに、調査では77機関が現時点で「導入予定」または「検討中ないしは検討の意思あり」と答えた。なかでも、積極的なのが信金。7信金が導入を予定しており、41信金が前向きに検討している。
多様な働き方の実現や、職員のスキルアップを目的に導入するケースが多い。各金融機関は、「内部で解禁を望む声が多く寄せられた」「職員の成長や地域貢献につながると判断した」などの理由で導入を決めている。
22年に導入した一部の金融機関では、開始から数カ月で30件以上の申請があった。職員は、副兼業で伝統工芸品の製造や中小企業のIT技術活用支援などにあたっている。別の金融機関では、職員が保有する資格を活用し、企業支援に取り組むケースもあった。
一方、まだ約360機関は副兼業を導入する予定を立てていない。最も大きい懸念は、「本業が疎かになるリスク」だ。他社との雇用契約締結による、労務管理の負担増加もためらう理由にあがっている。
すでに導入している金融機関では、事前申請や定期報告の義務付けなどでリスク軽減を図っており、資格を活用したコンサルティング業務を営業エリア外に限定する動きもある。
調査結果は、「金融仲介機能の発揮に向けたプログレスレポート」でまとめた。同庁の地域金融企画室は、「先行事例を参考にして導入が広がることを期待したい」と話している。
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