住宅ローン借り換え「夏の陣」、16年度の再現あるか
2022.06.27 04:44
足元で進む物価高などを背景に、住宅ローンの借り換え需要が高まっている。金融機関からは相談が増えているとの声が出始め、今後は融資実行も増加が見込まれる。近年、借り換え案件が最も膨らんだのは、日本銀行のマイナス金利政策導入によってローン金利が低下した2016年度。その再現はあるか。
6月22日配信の「銀行界、住宅融資 借り換えにマト 物価高で生活防衛」で報じた通り、新生銀行やauじぶん銀行は6月から借り換えキャンペーンを開始した。水面下では、7月からキャンペーンを予定する銀行も出ているもよう。借り換え商戦が熱を帯びそうな気配だ。
日本銀行の統計によると、国内銀行の住宅ローン実行額が過去10年で最も大きかったのは、16年度の16兆8578億円。前年度から22.5%(3兆1005億円)増という驚異的な伸びを記録し、2番目に大きかった21年度の15兆8671億円も6.2%上回った。
16年度の伸びは借り換え案件がけん引した。国土交通省の金融機関向け調査では、新規実行額に占める借り換え向けの比率は16年度に25.3%と、前年度の15.2%から急上昇した。それに比べて直近の20年度は5.8%に過ぎない。
当時は、将来の金利上昇に備えて金利が低いうちに固定化したい利用者が多かった。住宅金融支援機構の調査では、16年度に借り換えを実施した債務者の72%が固定期間選択型か全期間固定金利を選択した。一方、20年度は目先の返済額を減らせる変動金利を選ぶ債務者が50.2%まで上昇している。
新生銀は6月からのキャンペーンで、変動金利、固定選択型の双方を対象とした。先行きの金利環境に不透明感もあるなか、顧客それぞれの金利見通しやニーズに応じて最適な金利タイプを選んでもらうためだ。
2月以降、固定型の新規実行金利の上昇とその報道を通じ、利用者の金利感応度は高まった。そこに物価上昇が直撃し、生活防衛意識も増している。状況だけ見れば、近年はやや下火だった借り換えニーズが一気に噴き出してもおかしくはなさそうだ。
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