金融・非金融のサービス拠点に 松橋・セブン銀社長
2022.06.21 04:38
「現金プラットフォーム」というATMの肩書は消えそうだ。セブン銀行は自らのサービスを「ATM+(プラス)」と名付け、国内約2万6000台、世界4万台に広がる同行ATMを金融に限らない多様なサービスにアクセスできる〝ターミナル〟に進化させる。
2022年度中には、継続的顧客管理に係る確認をATMの取引プロセスに組み込む。実証実験段階のATMを活用した国や自治体による給付金の受け渡しや、マイナンバーカード手続きなど公共サービス領域にも踏み込む。
6月20日付で新社長となった松橋正明社長(60)がインタビューで明らかにした。新サービスは継続的顧客管理において重要な顧客情報確認のアンケートをATM取引中に実施する。「若者を中心にはがきやメールを読まない人もいるという。ATM操作のなかでアンケートが実施できれば企業と顧客双方の手間を大きく減らすことができる」。
また、兵庫県加古川市で実証実験を進めているATMで給付金を受取るサービスの全国展開を見込む。「ATMは常にアプリが最新の状態で、優れたUIから操作が分からずドロップアウトする人もほとんどいない。あらゆる人が利用する公共サービスにコンビニからアクセスできるメリットは大きい」と期待を込める。
海外ATM事業は引き続きアメリカとインドネシア、フィリピンの3カ国への設置を進め、約1万2000台(21年12月時点)から25年度までに1万6000台へ拡大する。設置場所の2割は機械学習が関わっており、建物の大きさから利用者数を予想するなど、従来の人のナレッジでは見つからない好立地を割り出すなどデータ活用を進める。並行して地場の銀行やフィンテック企業との連携も進め、利用拡大を見込む。
ATM以外の事業では、コロナ禍で一時停滞していた技能実習生など日本国内の在留外国人向けサービスに注力する。20年にシンガポールのDBS銀行と提携するなど、アプリによる東南アジアへの海外送金の仕組みを整えており、今後は利用拡大に向けてマーケティングなどにリソースを注ぐ方針だ。外国人の保険やクレジットカードをスマホからワンパッケージで申し込めるサービスの開発も検討する。
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